テレワークで困ったオフライン業務

先月、コロナウイルス発生後、初めての大型選挙が行われました。
密にならないためにも、自宅でオンライン投票ができればいいと思った方も多いかもしれません。コロナ以前からオンライン投票を求める声はありましたが、実現しないのは不正操作やコストの問題だけではありません。
オンライン投票は、日本では法的に認められていないからです。

「公職選挙法」では、投票所で投票用紙に自筆し投票箱に入れるというルールが明記されているため、法律が変わらない限り現状のままです。
しかしこの法律が制定されたのは1950年。
インターネットもない時代なので、当然オンライン投票は想定されていません。
社会の情勢も当時と変わってきているので、今後、議論していくことが必要かもしれません。

海外では実際にオンライン投票を行っている国があります。
IT先進国として知られるエストニアは、2007年に国政レベルの選挙で、世界で初めてオンライン投票を取り入れました。回を重ねるごとにオンライン投票を利用する有権者は増えているようで、高齢者の利用も増えているそうです。

日本での投票オンライン化はまだ先になりそうですが、テレワークはコロナ禍の影響で大幅に進みました。
しかし、オフラインでしか出来ない業務や、オンラインではスムーズにいかないこともあります。
今回はテレワークで困ったオフライン業務とその対策についてみていきたいと思います。

テレワークでも押印のために出社

経費精算、決裁印が必要な案件の書類、担当印が必要な契約書など、情報の入力はパソコンで出来ても、最後の押印が必要なため出社する人も多いようです。
電子承認や経費精算など、新たにシステムを導入する必要もあるので、今すぐ完全に押印廃止とはいきませんが、すでに押印廃止を進めている企業もあります。

・メルカリ
フリマアプリを運営するメルカリは、取引先との契約締結時に必要な署名、捺印を電子署名へ切り替えしていく方針を発表しました。
https://about.mercari.com/press/news/articles/electronic_seal/
取引先への感染拡大防止はもちろん、従業員の安全や働き方も考えたうえでの取り組みです。
ひと昔前なら、大企業であれば入社希望者が集まる時代でした。今後は働く側や投資家からも、テレワーク含め、従業員のことを考えた働きやすい会社が選ばれる流れは続きそうです。

・GMOインターネット
インターネット、仮想通貨事業などを手掛けるGMOインターネットは、グループ内での完全押印廃止を決定しています。グループ代表の熊谷正寿さんは、「ハンコ出社はテレワークの落とし穴」と自身のツイートで脱ハンコを呼びかけました。
三条市、橿原市などGMOインターネットの電子契約サービスを導入する自治体も出始めました。自治体で普及が進めば押印廃止の流れが早まりそうです。

アドビ社の調査によると、中小企業の72.6%が判子が生産性を下げていると回答したものの、50.1%が押印廃止は難しいとしています。
https://www.adobe.com/jp/news-room/news/202006/20200615_adobe-seal-usage-survey.html
難しい理由は取引先の契約形式に合わせなければいけないからです。全ての押印を廃止するのは難しいかもしれませんが、経費精算など社内の申請から電子申請サービスを取り入れるといいかもしれません。
無料でダウンロードできるシステムもあるので、一度試していてはいかがでしょうか。

リモート会議で発言するタイミング

テレワークで、リモート会議は当たり前になりましたが、メリットとデメリットがあります。

まずメリットは、移動時間の短縮です。
会議室は職務エリアと離れている場合が多いので、移動時間がかかります。会議の参加人数が多ければ、それだけ職務にあてる時間も削られてしまうので、移動のないリモート会議は時間の節約になります。

発言のしやすさもメリットです。
目の前の怖い上司がいると顔色を見て何となく発言を控えてしまった事はありませんか。リモート会議だと全員の顔は映りますが、直接の圧迫感や威圧感を感じないので発言がしやすいこともメリットです。
しかし、この発言のしやすさはデメリットにもなります。
それが発言のタイミングです。

直接話していれば、お互いの距離感や会話のタイミングが空気で伝わります。オンラインだと、その空気が伝わりにくく、タイミングがつかみにくいです。
例えば相手が話の途中で無言になると、間を取っているのか、話が終わったのか分からない時があります。
その場合は相手の話し方のクセを把握し、発言を挟むタイミングを計る、わざとらしいかもしれませんが手を挙げたり、「発言して良いですか」など前置きするとお互い嫌な気持ちにならずスムーズに会話が運びます。

テレワークの流れは止まらない

テレワークが普及しつつありますが、まだオフライン業務が必要なものは多いです。
今はテレワーク普及の過渡期ですが、働き方の多様化で、今後もテレワークの流れは続いていきます。急に全てを変えるのは難しいかもしれませんが、無料や低価格のシステムを試してみたり、できる工夫を重ねてテレワークライフを充実させていきたいですね。