テレワークをしている昼下がり、眠気に襲われたり、集中力が切れてしまうことは、誰でも経験があると思います。これは、昼食をとることによって血糖値があがることと、生体リズムが関係していると言われています。サーカディアンリズムとも呼ばれ、私たちの体は、午後2〜4時に眠くなるリズムになっているのだそうです。

このような眠気に襲われたとき、いくら気力を振り絞っても、仕事の効率を上げるのは難しいことがあります。そんな時におすすめなのが、思い切って昼寝をしてしまうこと。しかし、ただ寝ればいい訳ではありません。

そこで今回は、近年話題になっている「パワーナップ」という、テレワークの効率をアップしてくれる最強の昼寝の方法をお伝えしたいと思います。

テレワークの効率がアップする?!パワーナップとは?

パワーナップ(Power Nap)とは、社会心理学者で元コーネル大学の教授であるジェームス・マース氏が提唱した、20分程度の短時間の睡眠のことです。昼寝・うたた寝の意味であるNapと、Power upという単語を掛け合わせた造語なのですが、日本語では「積極的仮眠」と訳されたりしています。

「積極的」とあるように、ただただ眠くなって寝てしまう昼寝とは違い、戦略的に取り入れる昼寝とも言えるでしょうか。実はパワーナップの効果は、米航空宇宙局(NASA)での実験でも明らかになっていて、昼に26分間の仮眠をとったパイロットのチームでは、仮眠を取らなかったチームと比較して、認知能力が34%、注意力は54%も向上したのだそうです。

このような効果から、GoogleやAppleといったイノベーションを生み出し続けている世界的企業でも、わざわざ仮眠室をつくるなどして、パワーナップを取り入れているのです。

なぜパワーナップがテレワーク効率化に繋がるのか?

睡眠には、レム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)があって、それが交互に繰り返される、ということはご存知の方が多いと思います。そして、睡眠に入り、深い眠りであるノンレム睡眠にたどり着くまでには、4つのステージがあるのだそうです。

カリフォルニア大学の神経科学者マシュー・ウォーカー氏によれば、眠りはじめてから約20分ほどでやってくるステージ2の段階で、脳内の短期的な記憶、いわばキャッシュやメモリがクリアされて、情報を整理、記憶する脳のワーキングメモリが開放されるのだそうです。PCでも、動きが重たくなった時にキャッシュをクリアすることがありますが、私たちの脳においては、短い睡眠によってこのキャッシュクリアの効果が得られ、パワーナップ後のテレワークの作業効率アップが期待できるのですね。

ただし、パワーナップの効果が発揮できなかったり、テレワークの効率を下げてしまう場合もあります。
例えば、ステージ4まで行ってしまうと深い眠りとなり、目覚めが悪く、かえって頭がボーッとした状態になってしまったり、夜の睡眠に影響が出て翌日の作業効率を落としてしまうといった場合です。また、日中の活動量がさほどないタイミングや不適切な姿勢でパワーナップをとってしまうと、かえって健康にも悪影響を与えてしまうことがあります。

そこで、パワーナップでは約20分(30分を超えない)睡眠を推奨しています。

テレワーク中にパワーナップをする際のポイント

テレワークの効率をアップするために、パワーナップの効果を最大化するポイントも確認しておきましょう。

パワーナップは、20分程度にする

パワーナップの効果を得るためには、深い眠りに落ちる前の20分程度の睡眠が最適です。眠りすぎてしまうとかえって効率を下げてしまい逆効果となりますので、タイマーなどを設定して、20分程度で起きれるようにしましょう。

また、午後2〜4時頃になると、食事と生体リズムの影響で、眠気がやってきます。パワーナップを行うには、この眠気がやってくる前が適しています。

パワーナップ前に、カフェインを摂取する

コーヒーや紅茶、緑茶などに含まれるカフェインには覚醒効果がありますが、その効果が出始めるまでには約20〜30分程度かかります。そこで、パワーナップの直前にカフェインを摂取しておくことで、より快適に目覚めることができます。

パワーナップは、眠気が襲ってくる午後2時以前に行うのが効果的なので「食後に少しゆっくりコーヒーを飲み、その後にパワーナップをする」というリズムが良いかもしれませんね。

横にならず、座ったままでパワーナップをする

パワーナップでは、深く眠りすぎないことがポイントです。そこで、ベッドなどに横になるのではなく、あえて椅子やソファなどで座った姿勢で行うことをおすすめします。

最初はうまく寝付けないかもしれませんが、目を閉じてリラックスするだけでも、ある程度の効果は得られます。「寝なければ」と意識しすぎずに、リラックスタイムと捉えて気軽に取り組んでみましょう。

パワーナップ後はストレッチをして、テレワークを再開

パワーナップ後は、軽く伸びをしてストレッチしたり、部屋やオフィスの中を歩いたりしてみると、血行がよくなり、素早くテレワークに向けてスイッチを切り替えることができます。

カフェインが苦手、摂ることができないという方も、パワーナップ後のストレッチを意識してみるといいでしょう。

パワーナップでテレワークの効率をアップしよう

たったの20分でテレワークの効率がアップできてしまうとは、驚きですよね。午後の眠気は生理的な現象でもあり、誰もが感じるものです。パワーナップは、どこでも気軽に実行できますので、テレワークの効率をアップしたい!という方は、ぜひ日頃のテレワークの中に取り入れてみてはいかがでしょうか?