テレワークをしていると、オンライン会議や勉強会などでファシリテーションを担う機会があるかもしれません。

ファシリテーションという言葉自体は身近に見聞きしたりするようになりましたが、単なる「場の進行役」と考えていると、なかなか参加者の意見が引き出せなかったり、本音で話せないまま妥協案が採択されてしまったり、意見がまとまらずにいつまでも結論が出せない、という事態に陥ってしまう可能性があります。

形式的で退屈な会議のような一方的な進行をするのではなく、さまざまな要素が相まって場の進み方に変化を生み出すことができるのがファシリテーションの面白さではあるのですが、さまざまなスキルが必要とされるため一朝一夕にはいかないものです。

そこで今回は、オンライン会議のファシリテーションを担うことになったときに意識したいたった4つのルールをご紹介したいと思います。

テレワークでその存在感が増すファシリテーション、ファシリテーターとは?

そもそもファシリテーションとは、どんなことを意味しているのでしょうか?

日本ファシリテーション協会の定義によると「人々の活動が容易にできるよう支援し、うまくことが運ぶよう舵取りすること。集団による問題解決、アイデア創造、教育、学習等、あらゆる知識創造活動を支援し促進していく働きを意味します」また、上記のような「ファシリテーションを担う人を、ファシリテーターと呼びます」とあります。

引用:ファシリテーションとは|日本ファシリテーション協会

ビジネスの場においては、まさに「集団による問題解決」「アイディア創造」などが求められることが多くあり、ファシリテーションが必要とされています。

そして、コロナ以前においては、テレワークもいまほど推奨されておらず、対面の会議を行う機会が多くありました。対面の会議では、参加者が物理的な場を共有することができるので、細かなニュアンスや雰囲気などまで感じ取り進行に生かすことができましたが、テレワークが進んだ昨今では、オンラインの画面上で会議が進められるため、それらの情報が受け取りにくく、従来的な会議の進行方法では、本質的な問題解決やアイディアの創造が難しくなってきています。

そこで、単なる会議の進行役ではなく、参加者の発言を促したりすることで問題解決やアイディアを創出するための支援を積極的に行うファシリテーション、ファシリテーターという役割が注目を集めています。

ファシリテーションで意識したい4つのルール

ファシリテーションがテレワークでのオンライン会議にも有効であることはお分かりいただけたと思いますが、ファシリテーションスキルを身につけるには、多くの経験が必要で、時間もかかります。

それでも、ファシリテーションを頼まれたり、よりよい会議の場にしたい!ということはあると思いますので、そんなときにまずはこれを意識してほしい!という4つのルールをご紹介します。

このルールを参加者と事前に共有することで、いつもとはちょっと違う、より有意義な会議が実現できるかもしれません。

ジャッジ(決めつけ)をしないこと

私たち人間の頭の中では、無意識のうちに、日々大小様々なジャッジを行っています。例えば、会議の場においては「〇〇さんは説明せずともわかってくれるだろう」とか「私のアイディアは、すでに誰かが思いついているだろう」など、実際に確かめていないけれど「そうだろう」と自分の中で決めつけてしまうことで、本当に思っていることが伝えられなかったり、遠慮や忖度が発生してしまうことがあります。

参加者それぞれがこのようなジャッジをしている状態では、問題の本質的な解決策を見出したり、創造的なアイディアを生み出すことは大変困難です。

発言をためらわないこと

ジャッジをしないことと合わせて大切なのが、ためらわないこと。ジャッジをされていると思うと発言をためらってしまいますし、ためらわずに言ってみたもののジャッジされていると感じてしまうと、自由な議論が遮られてしまいます。両輪であることが大事です。

お互いにサポートし合うこと

こちらは分かりやすくシンプルですが、明文化しておくことで、意識的にサポートし合うことができます。例えば、誰かが意見を言いにくそうにしていたり、うまく説明できないでいたら「〇〇さんが言おうとしているのは、例えばこういうことですか?」と助け舟を出しやすくなったり、「△△さん、ぜひ補足があったらお願いしたいのですが」とサポートを求めたり、サポート自体が受け入れやすくなる効果もあります。

楽しむこと

最後に、とても大切なルールが、楽しむこと・楽しもうとするその姿勢です。ファシリテーターも含めた参加者全員がその場を楽しむことができたら、自分と相容れない考え方もまずは一旦受け止めてみることができたり、ちょっとした笑いから場がリラックスして議論が進んだりと、場の円滑な進行に影響を及ぼします。

テレワーク中のオンライン会議、有意義なファシリテーションを実施するために

ファシリテーションが必要だけれど、何をしたらいいかわからない。意識はしているつもりだけど、何だかうまくいかない。ファシリテーションスキルは勉強中だけど、もっと手軽にできるTipsを知りたい。と思っている方には、ぜひこの4つのルールを試してみていただければと思います。

本来は、参加者全員で実行することが大事なのですが、最初はなかなか難しいかもしれません。ただし、ファシリテーターを務めるあなたがちょっとでもこのルールを意識することで、「こういう場面でジャッジが出てしまいがちなのだな」「このときは、こんな助け舟を出してみたらいいのだな」といったたくさんの気づきを得ることができるでしょう。

これらの気づきから、自然とファシリテーションの要のポイントがわかってきます。

テレワーク中で、進行が難しいオンライン会議でも、4つのルールを用いたファシリテーションによって、有意義な場づくりに繋げていただければ幸いです。