2020年頃からテレワークやDXが進み、オフィスにいなくても事業活動が進められる企業も増えてきています。

その結果「オフィス不要論」が囁かれ始めたのを皮切りに、スタートアップや小規模企業を中心に、今のオフィスを解約しシェアオフィス利用を検討する企業も見受けられるようになりました。

本記事では、これからシェアオフィスの検討を始める企業向けに、シェアオフィスの概要やそのメリットとデメリットを解説いたします。

テレワークで改めて注目される「シェアオフィス」とは

新型コロナウイルスの影響で、2020年頃からテレワークが一気に普及しました。加えて、労務や経理等、これまでは出社をしなければ業務が難しかった部門のデジタル化も進み、会社にいなくても業務を遂行することが容易になりつつあります。

こうした背景から、一部では「オフィス不要論」も囁かれ、とくにスタートアップや小規模の企業の中には、オフィスの在り方を改めて考える企業もいらっしゃるようです。

とはいえ、オフィスを完全になくしてしまうと、

・請求書などの重要書類の受け取り
・過去の書類やノベルティ等の保管

など、困ってしまうケースも少なからず考えられます。そこで今改めて注目を集めているのが「シェアオフィス」です。

シェアオフィスとは何か

シェアオフィス(share office)とは、オフィスを複数の企業や人でシェアして利用するワーキングスペースのことを指します。個室を持たないフリーアドレス型のオフィスになっていることも多く、利用者はシェアオフィス内の好きな場所で仕事をすることができます。

シェアオフィスによって設備はさまざまです。先述の通り、フリーアドレスでコワーキングスペースのようなオープンな作りになっているものもありますし、個室や会議室を備えているものもあります。

同じような仕組みを持つものとして、「コワーキングスペース」も挙げられます。こちらはシェアオフィスと比較すると、よりコミュニティ色が強いワーキングスペースです。異業種交流等を目的としたイベントが開催されることもあり、より交流をメインとした使い方がされることが多いです。

テレワークメインの会社にシェアオフィスがおすすめなわけ

次に、テレワークでリモートによる業務がメインの会社にとって、自前のオフィスではなくシェアオフィスを活用することのメリットが何かを解説していきましょう。

メリット1 法人登記や住所利用ができる

会社として成り立つためには、法人登記は欠かせません。法人登記には本店所在地を登録する必要があります。オフィスを持たない企業の場合、代表の居住地にする場合もありますが、プライバシーの観点から別の住所を持つ方が望ましいでしょう。

シェアオフィスであれば、法人登記や住所を利用することが可能です。法人登記の他、各種郵便物の受け取りにも利用できるので、まだ紙でのやり取りがある場合でも安心です。

メリット2 低コストで仕事場を確保できる

シェアオフィスは、自前でオフィスを借りるよりも低コストに仕事場を確保することができます。場所によっては、月単位、年単位など、契約期間も柔軟に設定されており、会社の状況に合わせて借りることができるのもメリットでしょう。また、電源や印刷機など、会社に必要なオフィスインフラも整っているので、細かい出費を考えなくてよいのも魅力的です。

メリット3 他社との交流も可能

先述のとおりシェアオフィスは、複数の企業でシェアをして利用します。そのため、自然と他社とのコミュニケーションも発生しやすく、交流の場ともなります。特にスタートアップ企業にとっては、新しい人脈やアイデア出しのきっかけにもなりえるため、非常に大きなメリットと言えるでしょう。

シェアオフィスにはデメリットもある

ここまでメリットを解説してきましたが、もちろん考えなければならないデメリットもあります。

デメリット1 プライバシーが確保しにくい

シェアオフィスによっては個室がない場所も存在します。そのため、社員間の会議やお客様との会話などが他社に聞こえてしまう可能性もあり、情報漏洩に繋がる危険性もあります。また、人の出入りが多いという点もプライバシーの観点から予め考慮に入れておいてください。

こうした業務が想定される場合には、個室や電話ブースのあるシェアオフィスを借りるなどの対策を検討しておくことが重要です。

デメリット2 個室があっても借りにくい場合がある

個室や会議室のあるシェアオフィスを選んだとしても、予約がすぐに埋まってしまい使いたいときに借りられないケースもあります。特に利用している企業が多いシェアオフィスでは、会議室の予約が常に埋まっており、ほとんど利用できないなんてことも。シェアオフィスを借りる前に、直近の会議室の予約状況を確認したり、個室・会議室の多いシェアオフィスを選ぶ等、事前確認も怠らないようにしましょう。

テレワークでシェアオフィスに変えるなら、メリットデメリットを考慮して

テレワークを機に、今のオフィスを解約しシェアオフィスへの変更を検討されている場合、メリットやデメリットをしっかりと考慮したうえで決定することをお勧めします。

デメリットはあるものの、シェアオフィスの設備によっては問題なく事業活動を遂行することも可能です。まずは希望の所在地や社員の利便性等に合わせて、いくつかのシェアオフィスを見学してみるのも良いでしょう。