テレワークというと自宅で黙々と仕事をするイメージがありますが、実はホテルといった自宅以外の施設でもテレワークに取り組めるスペースがあることをご存じでしょうか。実際に一部のホテルでは、施設の魅力(快適さや食事など)を活かしたテレワーク向けのプランを提供しています。

こちらの記事では、テレワーク向けのホテル選びのポイントを中心に紹介をしていきましょう。

ホテルがテレワーク向けプランに踏み切った背景と現状

新型コロナウイルス感染拡大防止に伴い、旅行や出張がセーブされていた昨今。その影響もあり、コロナ禍では全国各地の宿泊施設は利用者も減少していました。それに伴い、ホテルの利益も減っています。

そんな状況のなかで登場したのが、ビジネスホテル(※都市部の場合、郊外だとリゾート系ホテルもあり)を中心としたテレワーク向けのプランです。ホテルの客室をテレワークスペースとして貸し出すプランで、日帰りや宿泊など、ご自身の都合に合わせてお好みで選べるのがポイントの一つといえるでしょう。アパホテルといったビジネスホテルでも、テレワーク系のプランを提供しています。

アパホテルの例でいうと、「通常の日帰りプラン」と「テレワーク応援プラン」が用意されています。「通常の日帰りプラン」の利用時間は、11時から17時となっており、最大6時間利用可能です。「テレワーク応援プラン」の利用時間は、8時から19時であり、最大11時間利用できます。1週間まるっとテレワークに集中したい方は、「テレワーク応援5日間連続プラン」もあります。

参考
日帰りプランにテレワーク応援[8:00-19:00]プランが登場!|【公式】アパ ホテル|ビジネス予約サイト

また、東京都では「宿泊施設テレワーク利用促進事業」として、ホテルでのテレワーク推進事業を展開しています。例えば、HISなどの大手旅行代理店では、宿泊施設のビジネスプランなどの形があります。ユニークな環境を提供していることで話題の「変なホテル」では、テレワークをするビジネスパーソン向けに「ビジネスパック」を提供しており、長期間滞在したいとお考えの方におすすめです。5泊6日から最大15泊16日、利用できます。お子様がいらっしゃる家庭には、おしゃべりができるロボットが部屋に置かれている「ロボホンルーム活用プラン」が向いているでしょう。親御さんがテレワークをしているときに、お子様にはロボホンと遊んで過ごすことができます。

参考
宿泊施設テレワーク利用促進事業|観光|東京都産業労働局

変なホテル「ビジネスパック」「ロボホンルーム活用プラン」提供開始|HIS

他にも企業とホテルが提携してテレワーク向けプランを提供している例もあります。大手人材派遣会社の株式会社パソナは、ホテルワークを実現するプランとして『リモートワークプレミアム』を、2020年8月にスタートさせました。ホテルをサテライトオフィスとして提供してくれます。

パソナ 「ホテル」×「リモートワーク」で “ホテルワーク”を実現 『リモートワークプレミアム』を8月18日開始| パソナグループニュース

テレワークのスポットをホテルにするメリット

テレワークの場所をホテルにする場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。
こちらの章では、主なメリットについて触れていきましょう。

自宅よりも集中しやすい

自宅に子供やペットがいる、家族の出入りが多い、周辺が騒がしい……という環境のもとでテレワークをすると仕事が捗らない方もいるかもしれません。実際のところ、テレワークの場所をホテルにすることで、雑音を気にせず仕事に集中できたという声も挙がっています。

当然のことながら、ホテルでテレワークの頻度が多いとコストもかかってしまいますが、「どうしてもこの日は集中したい!」という場合であれば、週1~2日のペースでホテルでテレワークすると決めても良いかもしれません。

安全な環境のもと、周りを気にせず仕事に打ち込める

セキュリティ万全な個室でテレワークができるので、周りの目を気にすることもなく、仕事に打ち込めます。Web会議中もヘッドセット不要で参加することも可能です。

ネット環境が万全である

テレワークプランを提供しているホテルは、利用者が無料Wi-Fiをすぐ繋げられるよう、ネット環境も万全です。自宅のWi-Fiの調子がイマイチという方は、ホテルでテレワークをすることで、Wi-Fiがつながらないというストレスから解放されるでしょう。

仕事をしながら心身をリフレッシュできる

テレワーク先のホテルに見晴らしの良いロケーションを選べば、食事などのブレイクタイム中に景色の良い環境でリフレッシュできます。非日常の景色や空間を楽しみながらテレワークができるのも、ホテルでのテレワークの醍醐味ともいえるでしょう。

テレワーク先をホテルにするときの留意点

テレワーク先をホテルにしたい場合、勤務先によっては、自宅以外で行うことを「サテライトオフィス」として事前に申請するケースもあります。特にセキュリティに細かいルールを定めている企業に勤めている方は、「自宅以外」がどこかを聞かれることもあるかもしれません。テレワークをホテルでやってみたいという方は、勤務先に詳細を確認しておきましょう。

また、テレワーク向けのホテルを選ぶ場合、先に述べたWi-Fi環境だけでなく、部屋に配置されている電源タップの位置、プリンタが部屋や館内にあることも忘れずにチェックしておきましょう。

電源タップの位置を調べる理由として挙げられるのが、手持ちの電源コードが短くて、客室の電源タップに届かないことがあるからです。ホテルによっては、延長コードを貸し出しできるかもしれませんが、必ずしもそれを常備しているとは限りません。予約の前に客室の間取りや電源タップの位置を必ず確認することをおすすめします。必要であれば、事前に延長コードを手に入れておきましょう。

これからの働き方としてホテルのテレワークは定着するのか

コロナ禍の今、テレワークが新しい働き方として浸透していますが、この先のホテルのテレワークがどうなっていくか気になる方もいることでしょう。

今日、働き方と職種の多様化、若者から高齢者まで働く年齢層が広がっています。コロナが落ちついても、テレワーク場所の選択肢としてホテルにしたいという方は少なからずいらっしゃるでしょう。また、ホテルもテレワーク向けの新しいプランを打ち出すかもしれません。

これからのテレワーク×ホテルの動向に注目し、ホテルでテレワークをすることが「自分らしい働き方」につながるか、考えてみてはいかがでしょうか。