テレワークをしている方にとって、お部屋選びは大変重要です。自宅で過ごす時間が長くなりますし、住居は簡単に変えられるものではないからです。

現在テレワークをしている方やこれからテレワークに切り替える予定で、新居を探している方は、普段のお部屋選びのポイントに加えて、着目すべきポイントがあります。

今回は、厚労省が公開している「自宅等でテレワークを行う際の作業環境整備」を参考に、テレワークする際のお部屋選びで注目すべきポイントについて、ご紹介します。

参考:自宅等でテレワークを行う際の作業環境整備|厚生労働省

なぜ厚労省がテレワーク環境のガイドラインを提示しているのか?

育児や介護をしながら仕事を両立しなければならない人口が増えている今、社会課題へのアプローチの一つとしても期待されるテレワークですが、健康リスクを伴っていることをご存じですか?

長時間同じ姿勢でのテレワークをすることによる身体的疲労や、腰痛・肩こりの慢性化、エコノミー症候群などのリスクはもちろん、社内外とのコミュニケーションが希薄になることによる精神的疲労やストレスなど、多くの健康リスクと隣り合わせでもあるのです。

企業に勤めている場合、こういった業務時間内における健康リスクに対する対応責任は、企業側にあります。一般的なオフィスというのは、このような健康リスクを回避できるよう設計されており、従業員個人が心配しなければならないということはあまりありません。

しかし、テレワークという従業員それぞれが異なる環境で業務を行うことが前提となったときに、企業においては新たな環境整備の基準が必要になり、また従業員としてもある程度自身でテレワーク環境について考慮することが必要になったため、国として、このようなガイドラインが作られたのです。

テレワークのお部屋選びで考慮すべきポイント

厚労省のガイドラインでは、テレワーク環境を考える際に注目すべきポイントとして、部屋、窓、照明、室温湿度、机椅子PCを挙げています。

これらのポイントのなかでも、お部屋選びに関係する項目について、具体的には何をどのように確認すればよいのか見ていきましょう。

部屋

部屋自体に関して考慮するべきポイントとしては、​​以下の2点が挙げられています。

・作業等を行うのに十分な空間が確保されているか 
・転倒することがないよう整理整頓されているか

まず、作業をするための十分な空間の確保とありますが、”十分な”と言われてもどの程度の空間を確保すべきか判断が難しいですよね。

そこで参考として、事務所則第2条「設備の占める容積を除き、10m平方メートル以上の空間とする」が紹介されており、10m平方メートルつまり6畳程度の空間が確保できるのが、労働環境としてはふさわしいとされていることがわかります。
この6畳というのも、“設備の占める容積を除き”とあるので、デスクやチェア、戸棚やベッドなどの家具類を除いて6畳程度が確保できるのが良いようです。

ワンルームであれば、テレワーク以外の生活空間も必要ですから、6畳以上のお部屋を選んだり、2部屋以上の物件であれば、テレワーク用に6畳程度の部屋が確保できるかを確認するのがおすすめです。

次に、転倒を防止するため、整理整頓されているかについて言及があります。
オフィスにいる時は、当たり前に整理整頓が求められ、必要な収納スペースが与えられますが、テレワークをする場合は、自身でこれらも行わねばなりません。

より広い業務空間を確保するために、備え付けの収納スペースが充実した物件を探してみるのもよいでしょう。

窓に関しては、以下のポイントが明記されています。

・空気の入れ換えを行うこと(窓の開閉や換気設備の活用)

これは、事務所則第3条に則ったもので、オフィスにおいては本来このようなポイントまで考慮されているのですね。

長時間同じ空間でテレワークを行う時、健康リスクを避けるためにも、換気は非常に重要です。6畳ほどの部屋だと、開閉ができない採光が目的の飾り窓だけが設置されている場合もありますし、窓が交通量の多い大通りに面していて綺麗な空気を取り入れることが難しいといった場合もありますので、内覧の際には、窓の位置や周辺環境にも注意して見るようにしましょう。

照明

照明に関しては、以下のように記載があります。

・作業に支障がない十分な明るさにすること

ここでも”十分な”とありますが、照明については、事務所則第10条より、机上は300ルクス以上という基準があるのだそうです。300ルクスというと、家庭においては、食卓や台所などの照明の一般的な基準であり、リビングや書斎などは150ルクス程度と言われています。つまり、長時間のテレワークを前提としない場合の一般的な書斎の照明は、業務環境としては不適切である可能性があるのです。

照明自体は、部屋選びが完了したあとでもある程度カスタマイズができますが、備え付けの間接照明しか利用できないお部屋の場合や、デスクを置く予定の場所に十分な明るさが届かないといったことがないかなど、お部屋選びの際にしっかり確認しておくのがおすすめです。

健やかなテレワークライフを送るためにも、テレワークに適したお部屋選びを

今回は、厚労省のガイドラインに従って、テレワークに適したお部屋選びのために、着目すべきポイントをご紹介しました。

出社が前提であった時には、法律による保護と会社の責任によって、これほど細かいところまで考慮があったことに驚く一方で、これからテレワークが当たり前になっていく時代においては、長く健やかに働いていくためにも、自ら最適な環境作りができるかどうかが重要になってきます。

ぜひ、テレワークを前提とした住まい探しをしている方は、今回の記事で取り上げたポイントも考慮して、お部屋選びをしてみてください。