テレワークにおいて、課題の筆頭に挙げられるのが「コミュニケーション」。

出社を前提とした働き方においては、すぐ近くで上司や同僚の仕事ぶりを見て学ぶことができましたし、体調やメンタルの変化にもすぐ気が付くことができて、「今、話しかけてよいか」といった適切なタイミングも見計らいやすく、日々のコミュニケーションの質、ひいては、生産性や売上の向上などにも繋がっていました。

これが、それぞれ異なる場所からリモートで働き、お互いの様子が見えないテレワークという状態となると、途端に難しくなってしまうのです。

テレワークが推進されるにつれ、コミュニケーション課題が顕在化したことで、様々な施策やツールが紹介されてきました。その中で今回は、「ピアボーナス」という仕組みについてご紹介したいと思います。

テレワークにも効果的なピアボーナスとは?

ピアボーナスとは、ピア(同僚・仲間)とボーナス(賞与)という言葉を掛け合わせた造語で、企業内の従業員同士が少額の報酬をお互いに送りあえる福利厚生の制度のことを言います。

昨今では、SNSのようなアプリや、チャットとの連携で、気軽に報酬を送り合うサービスが多数公開されています。報酬は、お金であることもあれば、ギフトなどに交換できるポイントなどである場合もあります。多くの場合、毎月や毎週などの区切りで企業側が設定した一定のポイントが従業員に配られ、従業員が任意で同僚や仲間へ、そのポイントを送ることができます。報酬は、誰から誰へ送られたのかが可視化され、何らかの業務上のアクションやマインドへの称賛や感謝の気持ちを添えて送れるようになっています。

通常、ボーナス(賞与)というと、会社から従業員へ与えられるものですが、「従業員同士」かつ「少額」であることがピアボーナスの肝で、テレワークにおいて組織が抱える諸課題において、様々な効果が期待できると言われています。

テレワークにピアボーナスを導入するメリット

コミュニケーションの活性化

テレワークで大きな課題となるコミュニケーション。社内SNSやチャット、ビデオ会議ツールにバーチャルオフィスなど、テレワークという働き方を実践するにあたって、さまざまなツールを検討、導入した企業は多いと思います。

しかし、ツールを入れただけでコミュニケーションが活性化するわけではありません。やはり、それを使う明確な目的や機会があることで、利用が促進されます。

ピアボーナスは、報酬を送り合うサービスですが、そのためには、それぞれがお互いの仕事に関心を持って知ることがまず必要となります。自分が報酬をもらえる側でもあることから、自分の仕事やパフォーマンスについても積極的に発信するようになりますし、従業員が自発的に動きたくなる仕組みであることがポイントです。

ピアボーナスを導入することで、自然とコミュニケーションの機会を生み出すことができます。

従業員のモチベーション向上

報酬がもらえるということで、日頃のモチベーションアップにも繋がります。

通常の会社から「与えられる」ボーナスというのは、ある程度まとまった金額であるとはいえ、会社全体の成績にもよりますし、ゴールがあまりに大きければかえってモチベーションには繋がらないという場合も考えられます。ピアボーナスでは、会社や上司という、普段評価をする立場から見えにくい仕事や貢献にもスポットライトを当てることもできます。

例えば、「今日、私が△△プロジェクトの件で困っていたら、〇〇さんが助けてくれて、その気遣いに助けられました!」など、定性評価は難しいけれど、業務の進捗やチームのパフォーマンスに少なからず貢献しているアクションはたくさんありますよね。

こういった、今まで会社として評価が難しかったことに関してもピアボーナスという形の評価が生まれることで、従業員のモチベーションの向上に繋がります。

部署や役割を超えた、ナナメのコミュニケーション

ピアボーナスのサービスは、基本的に、誰から誰へ、どんな理由でボーナスが送られたのかが可視化されます。部署などに区切らず、会社全体に見える場所でこのようなコミュニケーションを行うことで、「あの部署はこういう仕事もしてくれているんだ」「〇〇さんは話したことなかったけど、△△の仕事が得意なんだ!今度相談してみよう!」など、部署や役割を超えたナナメのコミュニケーションが生まれやすくなります。

こうすることで、テレワークというコミュニケーションが課題になりやすい環境であっても、イノベーティブな視点が生まれたり、部署を横断したプロジェクトが発足するなど、様々な可能性を秘めています。

企業文化や行動指針の浸透

テレワークでコミュニケーションが取りにくくなってしまう結果として、企業文化や行動指針の浸透に課題を感じている企業も多くあります。

企業文化や行動指針というのは、日々繰り返して意識したり、実際の場面を通して、深く理解し、実践していけるようになるものです。

しかし、テレワークにおいては、文化や指針に沿って行動する先輩や見本となる人の行動や言動を見聞きする機会が極端に減ってしまうことがあります。

このようなシチュエーションで、「企業文化や行動指針を実行した人に対して、積極的にピアボーナスを送りましょう!」という利用方針とともにピアボーナスを利用することで、文化や指針に根ざした具体的なアクションや人物が浮かび上がり、会社として大事にしたいことの理解を深め、可視化していくことができます。

テレワークにも有効なピアボーナスサービス

Unipos(ユニポス)

出典:Unipos

日本発のピアボーナスとしては草分け的存在のUnipos(ユニポス)。

TeamsやSlack、Chatwork、Workplaceといったビジネスチャットやコミュニケーションツールと連携が可能なため、既存の社内ツールを用いてスムーズに利用を開始できます。

また、ピアボーナスを送り合うだけではなく、利用状況や組織の変化を可視化できる管理画面があり、あらゆる組織課題へのアプローチにも役立てられるほか、金融機関等への導入実績がある高いセキュリティも支持される理由です。

Hey Taco(ヘイタコ)

出典:HeyTaco

ピアボーナスが生まれたアメリカ発のサービス、HeyTaco(ヘイタコ)。

タコとは、あのメキシコの国民的料理タコスから来ていて、毎日1人あたり5個のタコスを同僚や仲間に送ることができます。ユニークで遊び心溢れるサービスデザインですよね。“1日あたり”と消費期限が短いのも特徴的です。

報酬は、集めたタコスの数に応じて企業が独自で設定できるので、ゲーム感覚で楽しめるほか、SlackとTeamsに連携させることができます。

導入目的を明確にすることで、テレワークでピアボーナスを有効活用

ピアボーナスという仕組みを用いることで、テレワークにおいてもコミュニケーションの活性化が見込めるほか、組織を強くするためのさまざまな効果が期待できます。

とはいえ、目的を明確にしないまま導入するのはおすすめしません。さまざまな効果が期待できるからこそ、そもそもの課題感に立ち戻って、何を解決、改善したいのかを明確にするところから始めましょう。そうすることで、実際にピアボーナスを導入する際の、会社からのメッセージが従業員にも的確に伝わり、より有効に活用することができるでしょう。