テレワークが推進されることで柔軟な働き方が実現できるようになってきましたが、勤めている会社がテレワークを認めていないことや、テレワーク未経験で新しくリモートの仕事を探そうとすると職種が限られているなど、高度なスキルや豊富な経験が求められることも多く、テレワーク初心者にはまだ高いハードルがあります。

地方であればなおさらです。地方移住の希望者も増加傾向にありますが、やはりハードルとなるのが仕事探しです。地方では仕事が限られているため、テレワークの仕事が見つけられればよいのですが、テレワーク初心者にとっては優しくはないようです。

そんな中で登場してきたのが、自営型テレワークを推進する企業や自治体です。これらの支援を活用できれば、テレワーク初心者でも地方でのテレワークは夢ではありません。

現在地方に住まれていてテレワークの仕事を探している方や、地方移住してテレワークを実現したいという方は、ぜひこの記事をご覧ください。

地方で始まっている「自営型テレワーク推進事業」

そもそも自営型テレワークとは?

テレワークは、雇用型テレワークと自営型テレワークの2つに分類することができます。

雇用型テレワークは、特定の企業や団体と雇用関係にあり、テレワークで業務を行うことを指します。
一方、自営型テレワークは、企業や団体に雇用されず、個人で仕事を受注してテレワークで業務を行うことを言います。いわゆるフリーランスのテレワーカーは、自営型テレワーカーに当たります。

雇用型でテレワークをしたい場合には、現在の職場にテレワークでの働き方の実現を掛け合い、企業の求人を探して、就職・転職活動をすることになります。
冒頭でもお伝えしたように、テレワーク初心者にとってはハードルが高い状況です。

自営型テレワークに関しても、仕事を得るための営業活動や受注したあとの進捗管理に品質管理、経理業務などもすべて自分で行う必要がありますから、簡単ではありません。

そんな中、テレワークという新しい働き方を生かして地方創生を実現しようと、自営型テレワーク推進を行う自治体や企業が登場してきました。

テレワーク初心者にも嬉しい「自営型テレワーク推進事業」

これまでも、地方移住を検討する人への移住体験ツアーや新しい住まいを整えるための助成金支給、サテライトオフィスなどの設置も含めた企業誘致などを行う自治体はたくさんありました。

しかしこれらは、すでに職がある雇用型テレワーカーや経験のある自営型テレワーカーにはありがたい支援なのですが、テレワーカー初心者やこれから自営型テレワーカーを目指す人にとっては、仕事探しのハードルが解消できるものではありませんでした。

そんな中、自営型テレワークをこれから始めたい個人に向けた支援を行う、官民連携の取り組みが登場し始めています。

自営型テレワークの推進事業で行われているのは、以下のような支援です。
・テレワーカー育成、教育
・業務斡旋、商談会の実施
・テレワーカー交流会、相談窓口の設置

テレワーカーになるための支援や仕事の斡旋を受けながら、地方でテレワークを始める方法が実現されつつあるのです。

「自営型テレワーク推進事業」を行っている自治体4選

ここからは、具体的に自営型テレワーク推進事業を行っている自治体を4つご紹介します。

大分県

大分県では、子育てや介護など家庭の事情により、外での就業が難しく柔軟な働き方が必要な人材に対する就業機会の創出のために、自営型テレワーク推進事業を行っています。

これから自営型テレワークを始めたいという方へ、基本的なビジネススキルやPCスキル、フリーランスで必要となる税務の知識まで含んだ入門講座から、テレワークで人気のオンラインアシスタントやライターとしての具体的なスキルを身に付けられる養成講座、実際の受注を目指すオンライン商談会など、初めて自営型テレワークを目指す人へのフルコースの支援を実施しています。

※2023年度の支援はまだ発表されていませんが、気になる方は大分県や株式会社キャリア・マムのウェブサイトをご確認ください

受託運営:株式会社キャリア・マム

和歌山県

和歌山県では、2018年度より5年連続で「家ではたらくカレッジ」と題した自営型テレワーカー育成のための取り組みを行っています。

テレワークを行うための基本を学べる3日間の集中講座からスタートし、6ヶ月に渡る授業はなんと無料!集中講座は、和歌山と田辺の2会場で開催され、託児サービスもあるので小さな子どもがいる方も安心して参加できます。講師やコーディネーターは全員テレワーカーで、周りの仲間とともに、自営型テレワーカーとしてステップアップが目指せます。

※2023年度の開催はまだ発表されておりませんが、気になる方は和歌山県や株式会社キャリア・マムのウェブサイトをご確認ください

受託運営:TETAU有限責任事業組合

長野県塩尻市

長野県塩尻市では、子育てや介護など何らかの理由によって働きたいけれど働けないでいる人に対して、自営型テレワークの実現を支援する「KADO(カドー)」という事業を行っています。

こちらの取り組みでは、テレワーカーへの研修支援のみならず、ワークシェア(クライアントからの業務受注、登録テレワーカーへの業務発注)やテレワーカーのマネジメントまで担っているのが特徴です。つまり、あくまでフリーランスでありながらも、組織やチームとして連携しながら働くことができる、テレワーク初心者には大変嬉しい働き方が実現できます。

さらに、行政機関においてワークスペースの確保や、PCやネットワークといったテレワークに必要な環境の整備を行っているため、安心して自営型テレワークを実現できます。

※現在では、塩尻市のみならず、長野県内・県外合わせて10自治体と連携しています

受託運営:KADO(塩尻市振興公社)

沖縄県

沖縄県では、2015年に八重山郡竹富町からスタートし、現在では沖縄県内すべての離島において、自営型テレワーカーの育成と業務を斡旋する支援事業を行っています。

自営型テレワーカーとして働くための事前講習はもちろん、動画編集講座やDX人材育成講座など、具体的なスキル習得のための講座もすべて無料で受講することができます。また、業務の受託や品質チェック、業務管理やクラウアントへの支払い業務まで担ってくれるため、テレワーカー初心者でも自身の業務に集中して取り組みつつ、スキルアップを目指すことができます。

沖縄県に在住の方はもちろん、テレワークで島暮らしを実現したいという方にもぴったりの取り組みです。

受託運営:アイランドコネクト沖縄(株式会社ブルー・オーシャン沖縄、株式会社アイボリー)

「自営型テレワーク推進事業」を活用して叶える、地方×テレワーク

テレワークという働き方が広がる中、まだまだハンディキャップがある地方。しかし、少しずつ広がる「自営型テレワーク推進支援」を活用すれば、テレワーク初心者でも、地方×テレワークが叶えられるかもしれません。

いま住んでいる地方でテレワークをしたい!地方に移住してテレワークをしたい!と考えている方は、ぜひ「自営型テレワーク支援事業」を調べてみてはいかがでしょうか。