働き方改革やDXが叫ばれる中、コロナ禍の大きな影響も受けて、企業のテレワーク導入が進みました。しかし、営業職に関してはどうでしょうか?

テレワークには、適している/適していない職種があると言われており、営業というとテレワークは難しいと言われがちでした。しかし、昨今、インサイドセールスという新しい営業のあり方が広がってきたことにより、営業職のテレワーク導入の可能性が見直されてきています。

今回は、テレワークが難しいとされてきた営業職において、企業としてテレワークを導入するメリットと、必要な準備について紹介していきます。

「営業だからテレワークは難しい」は本当?

企業のテレワークの導入が進む中でも、なかなか進まなかった職種の一つに「営業」があります。

これにはいくつかの要因が考えられますが、主に、従来の営業は対面・訪問することが前提となっていたことや、外に出ることによる偶発的な出会いやチャンスが得られることなどが挙げられます。

もちろん、上記のような価値がなくなることはありませんが、企業のIT化、DXの必要性が叫ばれる中で、対面や訪問ではない営業のあり方が広がりつつあります。それがいわゆる、インサイドセールスです。

インサイドセールスとは、オンライン広告やセミナーなどにより創出した見込み客に対して、電話やメールといったツールで営業活動を行うことです。そのままリモートで受注まで行うケースもありますが、フィールドセールスに引き継ぐ場合もあります。

取り扱う商材にもよりますが、インターネット上で多くの情報が取得できるようになった昨今では、多くの顧客は自らも情報収集を行っています。例えば、探している商品やサービスについて、ネットで探し資料請求をすると、その企業の営業担当者(インサイドセールス)から連絡があり詳しい商品・サービス説明を受け、契約・購入へ…という流れは、非常にスムーズで無駄がないと言えます。顧客としても、必要なときに必要な情報だけを効率的に得て、購入の判断をできることは、大きな利点にもなります。

MA(マーケティングオートメーション)など、各分野でIT技術が進歩し、企業において導入・活用も進んでいることとも相まって、このような新しい営業の形が広がりつつあるのです。

インサイドセールスにおいては、基本的には勤務場所を問いませんから、テレワークも可能というわけです。「営業だからテレワークは難しい」という状況は、変化してきています。

営業にテレワークを導入するメリットとは?

コスト削減と生産性の向上

まずは何より、コストを削減することができます。出社の必要がなければ、会社までの交通費も顧客先への交通費も必要ありません。

また、訪問後にわざわざ会社に戻って資料や報告書を作ることで発生してしまっていた残業時間やコストも削減することができます。

従業員にとっても、移動時間が削減されることで営業活動に使える時間が増えますし、身体的な疲労なども軽減できるため、生産性を向上できるとも言えます。

営業範囲の拡大

対面・訪問での営業が前提の場合には、訪問可能な顧客のみがターゲットとなりますが、テレワークであれば対象エリアに限りはありません。

また、訪問を前提とした場合は、一つの場所からの営業範囲が限られるために、全国に営業所を置き対象エリアを区切るというやり方が普通でしたが、テレワークが実現できれば最小限で事足ります。

より多くの顧客にリーチすることができつつも、他拠点の設置や管理などの手間やコストも削減することが可能です。

優秀な人材の確保

営業は、企業の収益に直結する重要なポジションであり、優秀な人材を確保することは企業の重要なトピックの一つです。優秀な営業人材は、自分のパフォーマンスが最大限に発揮できる環境を常に探していますので、「営業でもテレワークができる」という条件は大きな採用メリットになり得ます。

既存の従業員についても同様です。子育てや介護など、さまざまな事情により柔軟な働き方が必要となった場合でも、テレワークという選択肢があれば、優秀な人材が他の企業へ流出してしまうことを防ぐことができます。

営業職にテレワークを導入するために必要な準備とは?

セキュリティ対策

他の職種でテレワークを行うときにも必要な準備ですが、営業職は直接的に顧客情報を取り扱うため、より慎重に対応しなければなりません。

自宅以外からのテレワークは禁止もしくは一定の条件下のみ許可するといったルールを設けたり、社内資料や顧客データの持ち出しができないようシステムを利用の上で制限をかける、といった対策が必要となります。

営業管理ツールの導入

営業を行う上では、インサイドセールスとフィールドセールス間、チーム間、営業アシスタントなど部署内の連携や、契約や入金管理を行う他部署との連携なども重要です。テレワークで営業を行う際に、お互いの動きや案件の進捗が見えないと、これらの連携に支障が出てしまいます。

そこで、SFA(セールスフォースオートメーション)といった営業支援システムやCRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)といった顧客管理システム等、適切なツールの準備を進めましょう。

関係者が必要な情報にいつでもアクセスできる状態にしておくことで、テレワークの営業もスムーズに行うことができます。

コミュニケーションツールの導入

テレワークで営業を行うときに、SFAやCRMを用いることで業務に必要な情報は手に入れることができますが、コミュニケーション不足により従業員のモチベーションの維持が課題となったり、スキルや成果の差が広がってしまう可能性があります。

チャットツールや社内SNSといったコミュニケーションツールを導入することで、従業員同士が交流しやすい環境を作ったり、上司に相談しやすい体制を構築しておくことも大切です。

営業でもテレワークはできる!適切な準備をして導入しましょう

以前はテレワークが難しいとされた営業職。しかし、企業のIT化やDXの流れを受けて、インサイドセールスという新しい営業の形が生まれ、営業職へのテレワーク導入も実現可能性が高まっています。

コスト削減や生産性の向上、優秀な人材の確保といった様々なメリットがある営業職のテレワーク。導入時には、しっかりと準備を整えた上で、実施しましょう。