テレワークやリモートワークという働き方を会社が取り入れることによって、一度も会社に出社せずに働く新入社員も出てくるようになった昨今。彼らは、そのような働き方に満足しているのでしょうか?

今回は学情の調査結果をもとに、新入社員の働き方への希望を紐解くとともに、新卒でテレワークすることのメリットとデメリットをお伝えしていきます。

2023年の新卒、「出社」希望が過半数に! 学情調べ

そろそろ就職活動も終わりが見え始め、4月の入社に向けて引っ越し等の身の回りの準備を進める学生が増える季節になりました。ここ数年、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、多くの企業がテレワークを推進し、新卒入社後すぐにテレワークに移行した新入社員も多くいます。働き方改革の一環として、テレワークを求める声がある一方で、中には出社を希望する方も少なくないようです。

株式会社学情(以下、学情)は、2023年4月に入社を控える新社会人に対して「入社後の働き方」をテーマにアンケートを行いました。ここではそのアンケート結果をご紹介しましょう。

「出社」を希望すると回答した新社会人が55.6%!

学情が行ったアンケートによれば、入社後の働き方として「出社」を希望すると回答した新社会人はなんと55.6%という結果になりました。この数値は、「テレワーク」を希望すると回答した新社会人23.6%の約2倍の数字で、なんとなく意外に思われる方も多いのではないでしょうか。

出社を希望すると答えた新社会人の実際の声は以下の通りです。

・出社して職場の雰囲気に慣れたい
・テレワークだと業務の進め方があっているか自信を持てない
・上司や先輩社員の顔と名前を覚えられていないと、質問や相談があっても、チャットを送ることを躊躇してしまいそう

確かにテレワークの場合、日々交流が持てる社員の数は限られており、出社している時のようにすれ違いざまのちょっとした会話や、ランチでの交流などが難しくなります。そのため、会社や仕事にまだ慣れていない新入社員にとっては、会社全体の雰囲気が感じにくいと言えるでしょう。また、テレワークの場合、先輩や上司の仕事ぶりや忙しさの可視化が難しく、声をかけるタイミングも分かりづらいものです。そのため、新入社員としては先輩社員への声掛けを躊躇してしまいがちになります。こうした不安もあり、出社を希望する新社会人が多いのだと考えられます。

入社する企業にテレワーク制度があったら「利用したい」と回答した新社会人が7割超

一方で、自分が入社する会社にテレワーク制度があるのであれば「利用したい」と回答した新入社員は43.3%、「どちらかと言えば利用したい」が31.5%で、合わせて74.5%がテレワークを利用したい意向があることも分かっています。このことから、完全テレワーク、完全出社という働き方ではなく、テレワークと出社を両方取り入れたハイブリットワークという働き方を求める方が多いことが分かります。

参考:学情『入社後の働き方(2023年4月入社の新社会人)』

■調査概要
・調査期間:2022年11月17日~12月4日
・調査機関:株式会社学情
・調査対象:「あさがくナビ2023(ダイレクトリクルーティングサイト会員数No.1)」会員
・有効回答数:441件
・調査方法:Web上でのアンケート調査

新卒でテレワークを行うメリットとデメリット

新卒でテレワークを行うメリット

新卒でテレワークを行うメリットを3つご紹介します。

1. 通勤時間の削減
2. 人間関係のストレスが減る
3. 好きな場所で仕事が可能

新卒でテレワークを行うメリットの1つ目は、「通勤時間の削減」です。

毎朝、満員電車での通勤は疲れるものです。また、会社までの距離が遠いと通勤に時間がかかりますよね。テレワークであれば、通勤時間の削減が可能になります。通勤時間が削減されると、その時間を睡眠時間に充てたり、業務で使用したりキャリアアップのための資格勉強に使うといったように、有効に活用することができます。

2つ目は、「人間関係のストレスが減る」点です。

新卒の新入社員は、会社での立ち振る舞いに慣れておらず、人間関係の構築にも非常に負荷がかかります。
テレワークであれば、人と接する機会も最小限に抑えられることや、気が乗らない飲み会がないことなど、人間関係で悩む機会も少ないでしょう。

3つ目は、「好きな場所で仕事が可能」な点です。

テレワークは環境さえ整っていれば、どこでも仕事をすることができます。通勤時間などを考慮し、わざわざ会社の近くに引っ越したりする手間も費用も削減できるでしょう。
しかし、会社によっては、自宅以外の場所での仕事を禁止しているところもあるため、気を付ける必要があります。

新卒でテレワークを行うデメリット

新卒でテレワークを行うデメリットを2つご紹介します。

1. 上司や同期とコミュニケーションを取りにくい
2. ビジネススキルが身に付きにくい

新卒でテレワークを行うデメリットの1つ目は、「上司や同期とコミュニケーションを取りにくい」点です。

メリットとして「人と接する機会が最小限に抑えられる」とお伝えしましたが、その一方で出社するよりも同僚と会話をする機会が減り、なかなか会社に馴染めないというデメリットもあるのです。
また、メールや電話でのやり取りが中心となるテレワークは、相手の表情が読めないことから、例えば上司に少し指摘を受けただけでも必要以上に「怒られた」と落ち込んでしまい、上司からもそういった新入社員の様子が把握しにくいなど、メンタル面での注意が必要です。
このデメリットを解消するためには、オンラインでの交流会などに積極的に参加したり、上司や同僚と定期的に会話の機会を作ることをおすすめします。

2つ目は、「ビジネススキルが身に付きにくい」点です。

社会に出ると名刺交換や接客マナー、挨拶などさまざまなビジネススキルを求められます。
新入社員はこうしたビジネススキルを上司や先輩の姿を実際に見て学びたいところですが、テレワークだとその機会も少ないです。
このようなビジネススキルの学習機会の不足を補うには、動画やオンラインコースなどで学ぶなど、自ら機会を作ることが非常に重要になってきます。

新入社員をひとり立ちさせるテレワークでのOJTのポイント

OJTとは、On the Job Trainingの頭文字を取ったもので、新入社員の教育手法の一つとして広く浸透しています。特徴としては、職場での「実践」を通して業務知識を身に着けることで、研修やマニュアルだけでは難しい細かな情報や視点を含めて、スピーディーに習得することができることです。
しかし、テレワークにおいては、このような新入社員に対するOJTの実施は非常に難しく、例えばオンライン商談への同席といった機会に限られてしまいがちです。

そこで重要となるのが、日頃のコミュニケーションです。
テレワークでOJTを行う場合には、特に気を付けて、新入社員とのコミュニケーションの機会を作ることが大切です。例えば、10〜15分と短い時間でも構わないので毎日必ず朝礼と終礼を行うことや、日報の徹底とそれに対する上司からのコメントによりコミュニケーション機会を作るといった工夫を行いましょう。
また、バーチャルオフィスやオンライン会議ツール、チャットツールを積極的に用いて、常に繋がっている状態、話しかけやすい状態を作るといった方法も有効です。

まとめ

2023年新入社員の意見や新卒でテレワークを行うメリットやデメリットについて解説しました。

テレワークは、上司や同僚とコミュニケーションを取る機会が少なくなりがちです。
仕事で悩んだ時に相談できる環境や学べる手法を整えておくと、テレワークがメインの会社でも安心して働くことができるでしょう。