「実家でテレワークをしたいな」と考えたことはありませんか?

自身の希望だけではなく、介護など家庭の事情で、地元へ戻らなければならない方もいるかもしれません。里帰りテレワークが可能な会社であれば、離職しなくても済みますし、実家への往復の移動時間も削減することもできます。

そこで今回は、近年注目を集めている「里帰りテレワーク」の特徴や背景、メリットとデメリットについて詳しく解説します。

介護などの家庭の都合で仕事を辞めなければならないかもしれないとお悩み中の方や、そんな社員を抱える企業の担当者様は、ぜひご一読ください。

テレワーク導入企業で広がる「里帰りテレワーク」制度

テレワークが一般的になりつつあり、多くの企業でテレワーク制度が導入されています。出社をせずに仕事ができるテレワークは、社員の生産性向上も期待されています。
そんな中で、自宅ではなく、実家で仕事ができるようにする「里帰りテレワーク」の制度を設けている企業も出てきました。ここでは里帰りテレワークについて簡単にご紹介します。

里帰りテレワークとは

里帰りテレワークとは、その名の通り実家へ里帰りをして仕事を行うテレワークのことを言います。

基本的にテレワークと言えば、会社近郊にある自宅で行うことが想定されていますが、こうした里帰りテレワーク制度を設けることで、遠方にある実家からの業務を許可する企業も少しずつ増えているようです。

自宅以外でのテレワークが認められていないことも

一方で、まだまだ自宅以外でのテレワークが認められていないケースも少なくありません。

VPNの整備などセキュリティ面での問題や、外部でのトラブル、テレワーク手当の支給範囲など、自宅に限定しないテレワーク制度は、会社にとって考えなければならない問題が多く、多くの企業で自宅以外でのテレワークを認めない傾向があるのです。

したがって、里帰りテレワークを希望する方は、まずは会社の規定を確認することから始め、もし制度が整っていなければ、改めて会社に相談してみる必要があります。

里帰りテレワークが検討されはじめた背景

制度としてきちんと整備をしている企業はまだまだ多くないものの、里帰りテレワークは少しずつ広がりを見せています。ここでは、里帰りテレワークが広がりつつある背景を解説していきます。

介護

里帰りテレワークが検討され始めた背景には、「介護」があります。

「介護離職」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

仕事でキャリアを積んできた人たちが、介護のために仕事を離職するケースが増加しています。たとえ長期間有休休暇を使ったとしても、有休期間中に介護が終わるようなケースは少なく、休暇明けにやむを得ず業務内容が変化してしまう可能性も考えられるでしょう。

このような不都合を減らし仕事と介護の両立を目指すために、里帰りテレワークの導入が期待されているのです。

災害

地震や台風などの災害が多い日本では、災害で職場が機能しなくなった状態を想定しておかなければなりません。逆に、実家のある地域で災害が発生した場合、家族の世話や復旧の手伝い等で地元に帰らねばならない場合も出てくるでしょう。

そのような事態に陥った時、里帰りテレワークが導入されていれば、地元に帰りながらも業務を行なうことが可能です。

このように、万が一災害が発生したときにも、状況に合わせて、自宅以外でも仕事ができるよう、里帰りテレワークの導入が検討されています。

里帰りテレワークのメリットとデメリット

メリット❶ 介護をしながら仕事ができる

里帰りテレワークは、介護をしながら仕事ができる点が大きなメリットのひとつです。

例えば、週一回だけ父親の通院付き添いのために実家でテレワークを行なったり、介護のために金曜日に実家でテレワークを行い、週末3日間実家で過ごしたりすることも可能になります。

会社側にもメリットがあります。里帰りテレワークの制度があれば、会社に出勤せずとも実家で働くことができるので、社員の介護離職を防ぐことに繋がるからです。

その他にも、企業が独自で「両立支援制度」や「介護サービス」などの制度を設けている場合もあります。このような制度も活用すると、一層介護の負担を減らすことが可能です。

自分が希望する働き方がある場合は、会社と相談しながら進めましょう。

メリット❷ 両親などの家族との時間が増える

里帰りテレワークは、両親などの家族との時間が増える点もメリットです。
会社に出勤する働き方だと、どうしても家族と過ごす時間が限られています。お盆や正月など長期連休しか帰省することができない方も多いです。

しかし、里帰りテレワークであれば、仕事をしながらも実家の家族と一緒に過ごす時間を作ることができます。また、都会に住んでいた時は休日でも人が多くて外出する機会が少なかったけれど、実家で里帰りテレワークをするようになってから、外出することが増えたという人もいます。

普段、都会で仕事をしている方にとっての里帰りテレワークは、家族との時間を大切にしながら、都会にはない落ち着いた環境で仕事に取り組むことができる制度と言えるでしょう。

デメリット❶ 急な出社要請に対応できないリスクがある

会社の制度や業種、職種などにもよりますが、里帰りテレワークがOKではあるものの、急遽出社要請がかかってしまうこともあるかもしれません。実家が遠方にある場合には、即時の対応が難しく、業務に支障が出てしまう可能性があります。

緊急時の対応方法についても、会社や部署メンバー等と確認や調整をしておく必要があるでしょう。

デメリット❷ 新たに環境整備が必要

実家でテレワークをするとなると、新たにテレワークに最適な環境づくりを行う必要があります。例えば、ネットワーク環境などは、高齢の親世代のみで住んでいる実家では整備されていない可能性がありますし、デスクやチェアも準備しなければなりません。

また、テレワークという働き方を見慣れていない家族から、頻繁に話しかけられて仕事が中断してしまうことなども考えられるので、落ち着いて作業ができるテレワーク環境の整備が可能かどうかも、検討が必要です。

まとめ

里帰りテレワークの特徴や背景、メリットとデメリットについて詳しく解説しました。

里帰りテレワークは、介護と仕事の両立が可能なだけでなく、企業側にとっても貴重な人材の離職を防ぐことができるので、双方にとってメリットがあります。

家庭の事情で仕事を辞めなければならないとお困りの方は、会社に相談し、里帰りテレワークの制度の新設や活用を検討してみてはいかがでしょうか。