多くの企業でテレワークが導入されるようになった昨今。
実は、テレワークをしながら地方移住を希望・決断する人が増えているといいます。

確かに、フルリモートが可能な職種であれば、会社やクライアントのオフィスのある都心部やその周辺に住む必要がなく、住む場所の選択肢は大きく広がります。また、月に数回など出社が必要なテレワークの場合でも、地方移住を決断する人もいます。IT企業のヤフーでは、2022年4月〜社員のテレワークをより充実されるため、日本国内であればどこでも居住がOKで、出社を指示された場合など飛行機による出勤も月額15万円まで認める、といった制度を発表して話題になりました。

今回は、テレワークをしながらの地方移住について、そのメリットや移住方法についてお伝えします。

テレワーク推進で、地方移住希望者が増加

2022年6月に行われた内閣府の調査によれば、新型コロナウイルスの流行に伴ってテレワークが推進され、東京都においては約50%、全国においても30%以上の企業がテレワークを実施しています。

そんな中、地方移住への関心を持つ割合は、新型コロナウイルスの感染拡大以前の2019年12月時点から2022年6月に至るまで増加し続けていて、地方への移住の関心理由として、「人口密度が低く自然豊かな環境に魅力を感じたため(34.5%)」の回答に続き、「テレワークによって地方でも同様に働けると感じたため(24.5%)」と、4分の1の人が「テレワーク」により地方移住への関心が高まっていると回答しているのです。

出典:新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査|内閣府

テレワークで地方移住するメリットとは

年々関心が高まっているテレワークをしながらの地方移住ですが、どのようなメリットがあるのでしょうか?

自然豊かな生活環境が得られる

先程の調査でも地方移住への関心理由の第一に挙がっていたように、何より自然豊かな生活環境が得られるという点があります。

出社が当たり前であった頃は、何の疑いもなく毎朝ぎゅうぎゅう詰めの通勤電車に乗って通勤していたという人も、新型コロナウイルスの拡大に伴ってテレワークという働き方にシフトした結果、それまでの通勤や都心部における忙しない生活スタイルに疑問を持つ人が増えました。

また、もともと自然豊かな環境を求めて地方移住に関心を持ちながらも、通勤のためにやむなく都心部に住んでいた人にとっても、地方移住への関心がさらに高まっているようです。

地方であれば、パソコン作業に疲れたときに窓の外を見れば豊かな自然が目に入る環境だったり、広い自宅の庭先にデスクと椅子を設置して外で作業してみたりと、ストレスの軽減や気分転換をしやすい環境を手に入れることができます。

小さなお子さんがいる家庭などでも、「小さいころから自然に触れさせたい」「豊かな自然の中で育てたい」といったニーズが大きいようです。

都心部と同程度の収入を保つことができる

地方移住を希望しながらも、その決断の障壁となりがちなのが、仕事。地方においては、都心部と同程度の収入や勤務時間を選べるなど条件のよい仕事を見つけることが困難で、移住を断念するケースが多くあります。

しかし、現在すでにテレワークが可能な企業へ勤めている場合や、個人事業主などでテレワークが実現できているのであれば、現在の収入を保ったまま地方移住をすることができます。

念願の地方移住であったとしても、その地域との相性やご近所付き合いなど、住んでから分かることもありますし、現在の収入源を手放すことなく地方移住が実現できるのは、テレワーカーならではのメリットです。

生活コストが抑えられる

地方移住のメリットとして、やはり生活コストの削減が挙げられます。最も期待されるのは、住居のコスト削減。昨今は、多くの自治体が移住者支援を積極的に行っており、都心部では考えられないような破格の賃貸・購入物件も見つけることができます。敷地や建物面積が広い物件が見つけやすいのも利点です。

また、食事に関しても、地域で収穫された食材など安価で購入できる場合が多く、家計の助けになってくれることでしょう。

ただし、すべてが安くなるわけではなく、都心部に住んでいるときには抑えられていた費用が増加する場合もありますので注意が必要です。例えば、交通費。地方においては車での移動が必須で、車の維持コストやガソリン代などが新たに増加する可能性があります。生活全体のコストを洗い出して検討されることをおすすめします。

テレワークで地方移住を実現する方法

では、実際にテレワークしながら地方移住するには、どのような方法があるのでしょうか?

もちろん、自身が納得の行く環境が見つかれば即完全移住もアリですが、「魅力的な地域がたくさんあって、決めきれない」「良いなと思う場所は見つかったけど、本当に上手くいくのか不安」といった声の方が多いのではないでしょうか。

そんなときの選択肢をいくつかご紹介します。

ワーケーション

最も手軽な方法として、ワーケーションがあります。ワーケーションとは、ワーク(仕事)とバケーション(休暇)を組み合わせた造語で、普段とは異なる場所で仕事をしつつ、同時に休暇も楽しむことを言います。

まずは気になる地域にワーケーションとして訪れることで、現地の雰囲気や環境を確認することができるため、地方移住を検討しているテレワーカーにはおすすめの方法です。

体験移住

昨今多くの自治体で実施している、移住検討者向けの体験移住というものもあります。これは、一定期間、自治体などが提供する住居に滞在しながら実際のその地域での生活を体験し、じっくりと移住の検討ができるプログラムのこと。条件はさまざまですが、なかには温泉付きの物件や、人気の古民家物件も?!

参考:魅力的なお試し住宅、集めました。|移住スカウトサービスSMOUT

また、体験移住よりも手軽な1泊〜程度の移住体験ツアーなどを企画している自治体もあります。気になる地域がある方は、自治体ホームページ等も確認してみてください。

二拠点生活

現在の住居や都心部の拠点を残しながら、地方にも拠点を置いて、行き来するパターンもあります。もちろんコストはかかりますが、どうしても都心部での仕事が集中する時期がある場合や、地域の気候条件などを考慮して、二拠点間を行き来しながら地方移住を実現することもできます。

また、もし都心部に実家などがあれば、都心部に戻るときは実家を拠点にするという選択肢もあるかもしれませんね。

テレワークで地方移住、ぜひ検討してみてはいかがですか?

テレワークの推進により関心が高まる地方移住。いまの仕事を続けながら、自然豊かな生活環境を手に入れ、さらに生活コストを下げられるなど、様々なメリットがあります。気になってはいるけど、まだ行動に移せていないという方も、まずはワーケーションや体験移住から試してみてはいかがでしょうか?