電子帳簿保存法が、2022年1月に改正されることはご存知でしょうか?これまでの内容から大きく改正があり、今回の改正によって経理担当者のテレワークが大きく推進されるのではないかと言われています。

本記事では、2022年4月から施行される改正電子帳簿保存法の改正ポイントと、企業の経理業務への影響についてご説明いたします。

改正電子帳簿保存法って?

<そもそも、電子帳簿保存法とは>
電子帳簿保存法とは、簡単に言うと、これまで紙媒体で7年間の保存が必要だった帳簿書類の原本をスキャンし、電子データとして保存することを可能にする法律のことを言います。1998年に制定され、これまで複数回の改正がありました。

具体的な書類内容で言うと、領収書や請求書などの国税関係帳簿書類が該当します。

<2022年に改正される改正電子帳簿保存法のポイント>
2022年1月の改正では、これまで以上に導入・運用の要件が大きく緩和され、大企業以外でも導入が容易になりました。主な改正ポイントは以下の通りです。

・事前承認制度の廃止
・適正事務処理要件の廃止
・タイムスタンプを付与する期限の条件緩和
・書類登録時の検索要件の緩和
・不正行為にかかるペナルティの見直し

これまでの法律では企業が電子帳簿保存法に対応する際に、税務署への事前申請と承認が必要でした。しかも、その承認には3ヶ月という期間を要し、スムーズな導入の妨げとなっていました。この事前承認制度が廃止されることによって、社内の準備さえ完了すればいつでも電子帳簿保存法への対応ができるようになります。

次に、適正事務処理要件というものが廃止されることになりました。適正事務処理要件には、紙媒体の原本とスキャンした画像が一致するかどうかを管理するための、複数名の人事体制や、社内規定の整備などが含まれます。適正事務処理要件が廃止されたことにより、人員と工数の削減が可能になります。ただし、適正事務処理要件が廃止される一方で、電子取引で取得した書類は電磁的記録のまま保存しなければならなくなり、出力した紙媒体書類での保存では法律に対応できなくなったので注意が必要です。

また、これまでは書類の受領後3日以内に記録が必要だったタイムスタンプが、最長2ヶ月まで許容されることになりました。

他にも、書類を登録する時に必要だった検索要件が以前よりもシンプルになり、登録がしやすくなります。

しかし導入がしやすくなった一方で、不正行為にかかるペナルティの見直しもおこなわれ、電磁的記録として残されている書類に不正や隠ぺいがあった場合は、10%の重加算税が加重されることになりました。

まとめると、本改正では以下のメリットが見込めます。

・事前承認制度が廃止され、電子帳簿保存法の運用開始がスムーズに
・適正事務処理要件を満たすために必要だった人員・工数が削減できる
・タイムスタンプの期限が2ヶ月になり、余裕を持って対応可能に
・検索要件が緩和され、電子書類の登録が簡単に

改正電子帳簿保存法で、経理のテレワークはもっと進む?