ここ数年で頻繁に耳にするようになったSDGsですが、実はテレワーク制度を導入することによってSDGsに貢献できるということはご存知でしたか?

今回は、SDGsの概要と、テレワークの導入によってどのような形でSDGsに貢献できるのか、そして企業がSDGsに貢献するメリットと企業事例をご紹介します。

より良いテレワークにもつながる、話題の「SDGs」とは?

SDGsとは、Sustainable Development Goalsの略で、「持続可能な開発目標」と訳されます。2015年9月に実施された国連サミットで、「2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すための国際目標」として採択されました。

SDGsは、2001年に採択されたMDGs(Millennium Development Goals、ミレニアム開発目標)の後継として位置づけられています。SDGsの前身となるMDGsは、2015年までに達成すべき8つの目標を掲げており、実際に2015年までに一定の成果を上げたあげたと評価されています。

一方でそれに対し、SDGsはさらに目標とする項目を増やし、17の大きなゴールと、169のターゲットから構成されています。SDGsでは、「持続可能性」がキーワードになっており、これまで見落とされていた自然環境の破壊や格差の拡大などに改めて注目し、各国が協力して状況の改善に取り組んでいこうという意思が背景にあります。SDGsのゴールやターゲットは直接、テレワークやリモートワークに関する事項はありませんが、SDGsのゴールに網羅されている「働きがい」「平等」などに付随する内容が含まれています。

引用:
持続可能な開発サミット: 人々と地球のために、私たちの世界を転換させよう (2015年9月25-27日)概要|国連広報センター
(ODA) ミレニアム開発目標(MDGs) | 外務省

テレワークの導入でSDGsに貢献できるのか

SDGsには前述の通り17のゴールがあります。実は企業がテレワークを導入することによって、そのうちのいくつかのゴールに貢献できるのです。
テレワークで貢献できる目標とその内容については以下の通りとなっています。

『8.働きがいも経済成長も』

持続可能な経済成長のためには、全ての人にとって包摂的で持続可能な経済成長と、働きがいのある人間らしい仕事を促進することが重要です。8つ目のゴール「働きがいも経済成長も」では、誰もが安心して働ける環境を整え、さらに経済成長を促すことを目標に掲げています。

こうした動きにより、これまでは社員が会社のルールに従わざるを得ない状況でしたが、最近では会社側が社員のライフステージにいかに合わせられるかが重視され始めています。

そのうちの一つの取り組みとして、「テレワーク」が注目されており、テレワークを導入することによって、以前は勤務が難しかった人やシチュエーションにおいても働く環境を提供できるようになりました。

『10.人や国の不平等をなくそう』

世界では、所得や性別、年齢、障害の有無などさまざまな理由によって差別を受けたり、適切な機会を受けられなかったりする人々がいます。

こうした人や国家間の不平等をなくそうと掲げたのがSDGsの10番目の目標です。

テレワークを導入することによって、たとえば障害によって会社までの移動が難しい人や、郊外に住んでおり通勤できない人や通勤が不便な人、さらに言えば世界中どこにいる人でも安心して働くことができるようになります。

『5.ジェンダー平等を実現しよう』

これは先の10番目の目標にも共通する内容ですが、世界では女性や女児に対する差別や機会格差がまだまだ存在しています。

特に働く環境に関して言及すると、出産や育児のタイミングにおいて男女間の格差が顕著になります。出産や育児に関わると、どうしてもお子さんの都合に合わせて母親のスケジュールを調整する必要が出てくるからです。

しかし、テレワークという新しい働き方を導入することによって、時間の融通がきくようになり、以前よりも時間が限られている女性が働きやすい環境を提供できるようになりました。

企業が「テレワーク」の軸でSDGsに取り組むことのメリット

では、企業がSDGsに取り組むメリットにはどんなものがあるのでしょうか。
ここでは主なメリットを解説します。

企業のブランディングや採用が有利に

SDGsが掲げる目標は複数ありますが、どれも世界全体で「自分事」として取り組む内容です。企業がSDGsに取り組むことは、CSR(corporate social responsibility:企業の社会的責任)活動として評価されます。これは企業としてのブランディングやイメージの向上に繋がります。

また、最近では大学生など若者の間でも、SDGsに関わる世界課題に関心のある人が増えてきているので、会社をあげて世界課題に取り組むことによって採用力にも繋がると言えます。

テレワークに関していえば、テレワークができる企業の方が、学生や転職者からの応募が増える傾向にあるようです。

資金調達も有利に

資金調達の際には、各種ステークホルダーとの関係性が重要になってきます。

SDGsは世界共通の目標を掲げているので、テレワークやリモートワークの軸でSDGsに取り組む企業は、すなわち世界課題の解決に取り組む企業として高く評価されます。もし、あなたが出資を検討しているとしたら、世界の課題に取り組んでいる企業と、そうでない企業であればどちらに出資しますか? 答えは明確ですよね。

ステークホルダーとの関係性構築や、資金調達で優位性を獲得するためにも、率先してSDGsに取り組んでいきたいですね。

新しいビジネスチャンスも

SDGsで掲げられている目標は、言うまでもなく、世界が今まさに直面している課題を解決するためのものです。つまり、企業がSDGsに取り組むことは世界の課題解決に取り組むことと同義であり、そこから新しいビジネスにつながる可能性が十分にあります。

社会貢献にも繋がり、ビジネスチャンスにもなりうるという、まさに一石二鳥の取り組みですよね。この点でも、企業がSDGsに貢献するメリットは大いにあると思います。

「SDGsに取り組むぞ!」と構えるよりも、今の世の中にフィットする会社の仕組みや制度を整えていくことが、SDGsへの近道といえます。もし、テレワークの制度が整っていない企業(組織)は、まずはそこから取り組んでみてはいかがでしょうか。

テレワーク×SDGsで取り組んでいる企業事例

コロナ禍の影響で、日本の企業でもテレワークの導入率が上がりました。実際にテレワークを軸としたSDGsの企業事例を紹介していきましょう。

株式会社プレスト

株式会社プレスト(福岡県福岡市博多区)では、SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」目標10「人や国の不平等をなくそう」に紐づく事項としてワークライフバランスの取り組みとしてテレワークの実施を掲げています。

引用:SDGsの取り組み|企業情報

株式会社イーテス

株式会社イーテス(東京都大田区)では、地域の製造業、商店街、企業団体、NPO法人様のITリテラシー教育およびコンサルティングを推進しつつ、女性が活躍できる職場環境づくりに注力しています。SDGsにおいては、複数の目標を掲げており、特に目標5「ジェンダー平等を実現しよう」をベースとした働き方を実施。子育て中の女性のなかでも専門性の高い能力のある人材を積極的に採用し、テレワークを中心とした業務を展開しています。

参考記事:SDGsの取り組み – 中小企業のITパートナー(株)イーテス

JBサービス株式会社

JBサービス株式会社(東京都新宿区)では、事業を通じて社会貢献できるよう、企業オリジナルの「JBグループサステナビリティ基本方針」を定めています。従業員の感染拡大防止と、セキュリティと利便性を両立したテレワーク環境の構築など、従業員がテレワークを遂行できるような環境づくりに尽力。SDGsの目標8「働きがいも経済成長も」と目標9「産業と技術革新の基盤を作ろう」などに紐づいた取り組みがなされています。

参考記事:SDGsへの取り組み | 企業情報 | 会社概要

今回はテレワーク導入によって、SDGsにどのような貢献をもたらすか解説しました。企業でも従業員が安心して働き続けられるようSDGsを軸としたテレワークを取り入れています。人にも社会にも「プラス」になるSDGs。これからの働き方を考える場合、SDGsとテレワークをかけ合わせて考えてみてはいかがでしょうか。