テレワークをより有意義にするために読書習慣を!ということで、いくつかのテーマに分けて、おすすめの書籍をご紹介しているこのシリーズ。
今回のテーマは、〜エネルギーが湧いてくる、女性起業家の本〜です。
女性起業家というと、男勝りで、男社会を生き抜いてきた、自分とはかけ離れた人。なんてイメージを持つかもしれません。確かに、そういった一面もあるかも知れませんが、今回ご紹介する本の著者のみなさんは、強い意志を持ちながらも、自身の弱さを知り、向き合い、葛藤し、事業とチームを築かれてきていることがわかります。本を読み終わったあとには、むしろ、「私も自分の役割をまっとうしよう!」「私も挑戦してみたい!」とエネルギーが湧いてくるでしょう。
テレワーク中のお供に、ぜひ読んで見ていただきたい3冊をご紹介します。
『Third Way(サードウェイ) 第3の道のつくり方』(山口 絵理子)
まずご紹介するのは、「途上国から世界に通用するブランドをつくる」をミッションとし、バックやジュエリー、アパレル、そして食にも事業を広げる株式会社マザーハウスの代表取締役兼チーフデザイナー、山口 絵理子さんの『Third Way(サードウェイ) 第3の道のつくり方』(2019年、ディスカヴァー・トゥエンティワン)。
もともと、バングラデッシュの工場でジュートという素材を生かしたバックからはじまった同ブランドは、ネパール、インドネシア、スリランカ、インド、と生産の場を広げ、日本国内のみならず、台湾、香港、シンガポールにも店舗を持ち、世界に数百人のスタッフを抱えています。
そんな大所帯を率いる女性の起業家って、さぞたくましい方なのだろうと想像しますが…この本を手にとってみると、とても優しい語り口が印象的です。
他にも、『裸でも生きる1〜2』などの書籍を執筆され、大変な悔しがりで、強い意志を持ち、努力家であることがわかるエピソードは満載なのですが、同時に、悔し涙を流しながらの葛藤も赤裸々に語られていて、パワーがもらえる言葉が散りばめられています。
このサードウェイでは、言葉の通り”第3の道”のつくり方が示されています。
「社会性とビジネス」「デザインと経営」「大量生産と手仕事」「個人と組織」「グローバルとローカル」、同社が創業から直面してきた課題を例に、二極化しがちな思考から抜け出し、新しい方法や価値を生み出していくあり方を示してくれています。
世界中でウイルスが猛威をふるい、「良い・悪い」「正しい・間違っている」と二極化と激しい言論を目にすることも増え、不安や居心地の悪さを増幅してしまっているように思います。
物事は、必ずしも二元論的に語れるものではないし、相反する二軸を掛け合わせることで、第三の新しい道を創造することだってできる、という希望を見出してくれる一冊です。
『幸せをつくるシゴト 完全オーダーメイドのウェディングビジネスを成功させた私の方法』(山川 咲)
「CRAZY OR DIE」という強烈なフレーズとともに、不可能と言われた「完全オーダーメイド」の結婚式を実現し、そのビジネスモデルが話題を呼んだ、crazy weddingの元代表、山川咲さんの『幸せをつくるシゴト 完全オーダーメイドのウェディングビジネスを成功させた私の方法』(2014年、講談社)。
あの有名なテレビ番組「情熱大陸」でも取り上げられたことがあるので、ご存知の方も多いかもしれません。山川さんは、自身の結婚式を企画した際に、決まり切って定められたルールの中で行われる結婚式に疑問を持ち、自分でウェディング事業を立ち上げられます。
現在、同社は「私たちは、人々が愛し合うための、機会と勇気を提供し、パートナーシップの分断を解消します」という新しいパーパスを掲げ、crazy wedding以外の事業に幅を広げているほか、山川さん自身もこのブランドから独立されていますが、幼少期の稀有な生い立ちから、crazy wedding立ち上げ、創業期の葛藤がありありと描かれていて、引き込まれる一冊です。
本の中で何度も出てくるのが「意志を持って生きる人を増やしたい」という言葉。「用意されたレールに乗っているだけでいいのか?」「そこにあるように見えるレールはただの幻想で、結局自分しか自分の人生の責任をとることはできないんだ」という強いメッセージを感じました。
本が出版されたのがもう6年も前ですが、この不確実な時代にまさにそれぞれの「意志」が試されているような気がします。
『自分のために生きる勇気 流されない心をつくる33の方法』(白木 夏子)
HASUNAというジュエリーブランドの会社を経営する白木夏子さんの『自分のために生きる勇気 流されない心をつくる33の方法』(2014年、ダイヤモンド社)。
たまたまコワーキングスペースの本棚においてあったものを手に取り、読み進めると止まらなくなって、手元に置いておきたくのちに自分でも購入したこの本。
ジュエリーに使われる鉱物の産地である発展途上国の現場から、搾取ではなく正当に買い付けを行う、いわゆる”エシカル”なジュエリーブランドであるHASUNAのことは知っていたのですが、創業・経営者である白木さんの考えやストーリーに触れるのはこの書籍がはじめてでした。
この本で繰り返し伝えられるのは「自分の人生を主体的に生きる」大切さ。そして、どうしたら主体的になれるのか?の様々なヒント。
さまざまな情報がカジュアルに手に入り、働き方や生き方の選択肢も広がる昨今。より幸せな人生を歩むことができるようになったも思われる反面、選択肢がたくさんあるがゆえに、「こうしておけば安心」「みんながこうしているから私も」という道が崩れ、「自分の人生の責任は自分にある」という事実を強く突きつけられるようになったとも言えます。
かつて、赤面症で、内向的だったという白木さんが、自ら鉱山を尋ねてジュエリーブランドをつくり、世界的な経営者が集うダボス会議などに参加するようになるストーリーに、勇気と優しい喝をもらえる本です。
どんな時代もしなやかに生きていくために
今回は、女性起業家による著書を3冊、ご紹介しました。
それぞれの本に共通するのは、どんな時代であっても自分自身の中に強い軸を持ち、本質を忘れないこと、そして柔軟でしなやかであることの大切さなのかなと思います。
先行きが見えず不安になったときも、読み返して、原点に立ち返り、エネルギーが湧いてくる本です。ぜひ、読んでみてはいかがでしょうか?