2020年から世界的流行を見せている新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、日本でも大々的に外出自粛やテレワークが推進され、今ではそれが当たり前の世の中になっています。テレワークが普及したことで、満員電車のストレスから解放されたり、育児や介護と仕事の両立がしやすくなったという方もいらっしゃいます。

しかし一方で、仕事とプライベートの境目があいまいで、結果として会社で働くよりも長時間労働になってしまっている方が少なくないという指摘がされています。なぜテレワークが長時間労働を助長してしまうのか、その解決策などを見ていきましょう。

どうしてテレワークが長時間労働になりやすいのか?

テレワークが長時間労働を助長してしまう要因は、大きく3つあります。

1.コミュニケーションに時間がとられがち
2.これまで以上に成果で評価される
3.仕事とプライベートの時間の境界があいまい

なるほど、と感じた方も多いのではないでしょうか?ここからはそれぞれについて詳しく探っていきましょう。

1.コミュニケーションに時間がとられがち
テレワークでは、これまで会社にいた時のような「ちょっと話しかける」というコミュニケーションが困難になりました。その解決策として、多くの企業ではチャットツールなどのコミュニケーションツールが導入されています。その結果、これまで言葉で話しかけていた内容を、テキストでやり取りするという「手間」が発生することになりました。
言いたいことを簡潔にテキストにまとめるというのは、意外に難しく、不必要に長文になってしまったり、逆に言葉が足りていなかったりして、その分何度もコミュニケーションを往復しなければならないなんてことも。これまでであればものの数分話せば解決していた問題が、テレワークではその何倍も解決に時間がかかるという現象が起こっており、その積み重ねで長時間労働を引き起こしているのです。

2.これまで以上に成果で評価される
テレワーク下では、部下の仕事をしている姿を見ることが難しいため、その仕事の過程(プロセス)で評価できません。その結果、成果で評価されることが増えました。
業種や職種にもよりますが、1日で成果を出せる仕事は多くありません。しかし真面目な人ほど、「これまでと同じような成果を出せているだろうか」と不安になり、目に見える成果を出すべくいつも以上に頑張って仕事をしてしまうようです。そのため、時間外で仕事をしたり休日に仕事をしてしまう方も少なくなく、労働時間が長くなってしまうのです。

3.仕事とプライベートの時間の境界があいまい
テレワークによって、満員電車に乗って通勤することがなくなりました。通勤電車のストレスが減少する一方で、逆に仕事とプライベートの切り替えが難しく感じる方も出てきました。切り替えがうまくできないと、勤務時間が始まってもしばらく仕事が手につかなかったり、反対に、勤務時間が終わっているのにだらだらと仕事を続けてしまったりします。その結果、ふたを開けてみるといつも以上に労働時間が長くなっていた…なんてことが頻発してしまうのです。

労働時間が長くなることで、生産性の低下を招くだけでなく、健康リスクにもつながります。もし思い当たるものがある方は、働き方を見直してみましょう。

長時間労働を見直すには

長時間労働は、少しの工夫で改善できます。本記事では、「働き手」ができる簡単な工夫をご紹介します。

<いつもより細かくスケジュールを組んでみる>
テレワークにおいては、これまで以上に細かくスケジュールを組むことをお勧めします。

<例>
10:00~10:45 会議資料作り
10:45~11:00 メール/チャットチェック
11:00~11:10 小休憩
11:10~12:00 テレアポ
12:00~13:00 お昼休憩
13:00~14:00 会議
14:00~14:10 小休憩
14:10~14:30 メール/チャットチェック
14:30~15:00 次の会議資料作り
15:00~16:00 会議
16:00~16:30 テレアポ
16:30~16:40 小休憩
16:40~17:00 メール/チャットチェック
17:00~18:00 提案書作成

なぜ細かくスケジュールを立てるかというと、そのスケジュールをこなすことで日々の達成感につながり、「ここまでやり切ったぞ!」という自己肯定感を高める事ができるからです。どうしても成果を追い求めてしまう様な真面目な人ほど、実践していただきたい方法です。

また、休憩時間やメール・チャットの確認もあえてスケジュールに入れておくことをお勧めします。そうすることで意識的に休憩を取って頭をリフレッシュできますし、だらだらとメール・チャットチェックをせずに済みますので、生産性を向上させることができるのです。

新たなツールを導入することなく簡単に実践できますので、テレワークで長時間労働になっているかも…とお悩みの方は、ぜひトライしてみてくださいね。