コロナ禍で多くの業界がダメージを受けていますが、住宅業界では追い風という声も聞こえてきます。
なんと首都圏新築マンションの平均価格は、6000万円台というバブル期以来の高値をつけているのです。

コロナ禍でも売れている物件の秘密とは?

そこにはコロナによる三密回避やテレワーク推進などにより変化した、新しい「暮らし」と密接な関係がありました。キーワードをもとに、人気を集める物件の秘密を探っていきます。

テレワーカーに人気の物件、キーワードは「職・住・遊」

人気物件に共通するキーワード、それは「職・住・遊」です。
この3つを兼ね備えた物件こそ、今の時代に求められているようです。キーワードを順番に見ていきたいと思います。

「職」:仕事に便利!

まず一つ目のキーワード「職」ですが、ここで重視されるのは仕事に便利な住居という点です。

ここには2つの要素があります。
・職場へのアクセス
・リモートワーク、テレワークを行う際の利便性
です。

職場へのアクセスに関しては、駅直結やオフィス街まで乗り換えなしで出られるアクセスの良さなどが重視されています。これは昔から変わらない物件の選択基準ですよね。私も引越しの時には、職場まで電車1本で行ける場所で家を探しました。

そして、リモートワークやテレワークを行う際の利便性ですが、こちらはコロナ禍で需要が増したポイントです。リモートワークやテレワークが推進されたことで、仕事がしやすい環境が重視されてきています。

このような流れを受けて、マンション内の共用部分がシェアオフィスになっていたり、コワーキングスペースを併設しているもの、部屋の間取りがリモートワーク、テレワークを想定したものになっている物件などがあります。
例えば、2LDKでリビングとは別に作業用の個室が設けられていたり、快適なネット環境が最初から整っていたりと、テレワーカー向けの部屋が人気です。

「住」:おうち時間を快適に!

住はズバリ住みやすさです。

コロナの影響でおうち時間が増え、巣ごもり需要が増しています。そんな中、おうち時間を快適に過ごすためのアイデアがつまった物件が増えています。

例えば、
・クックパッドと連携し、共用部分で生鮮食品が受け取れるサービス
・バルコニーの先に緑地を設けてストレス解消ができる物件
など、付加価値がついたものが登場しています。

個人的に一番嬉しいと感じたサービスは、宅配業者がチャイムを押すと、住人のスマホに自動接続されて荷物の到着がリアルタイムでわかる宅配ボックスです。これは新小岩のマンションに搭載されています。

「遊」:プライベートも楽しめる!

遊はプライベートの充実です。
プラスαの部分として、まわりの施設へのアクセスなども重視されています。やはり、仕事や普段の生活も大切ですが、業務時間外や休みの日もきちんと楽しめる、というのも重視したいポイントですよね。リモートワーク、テレワークをする機会が増えて、仕事とプライベートの切り分けがより求められているのかもしれません。

都内では、池袋の物件が人気です。地下でショッピングモールや水族館などがあるサンシャインシティなどに接続し、南池袋公園やイケ・サンパークにも徒歩で行ける。そんな強みを生かした立地のマンションが、公開後即完売しています。

「職・住・遊」を取り入れた公共施設やまちづくりも

ここまで見てきたように、マンションやアパートなどを運営する民間企業が独自に「職・住・遊」の融合に取り組んでいる事例が増えているほか、より広域に「まちづくり」として「職・住・遊」の視点を取り入れた公民連携の取り組みなども出てきています。
国土交通省による「デジタル化の急速な進展やニューノーマルに対応した都市政策のあり方検討会」の報告書では、多様な「働き方」「住まい方」に対応する職住遊がバランス良く融合した二子玉川駅周辺の事例や、起業家や投資家に加え学生にも開かれた「職+学」の場に加えて、シャワーや仮眠室、授乳室など「生活」空間を融合した虎ノ門のシェアオフィスの事例、旧社宅をリノベーションし「住」だけでなく店舗スペースを設けたり、地域との交流可能な空間デザインを行った高円寺アパートメントの事例などが紹介されています。
参考:デジタル化の急速な進展やニューノーマルに対応した都市政策のあり方検討会|国土交通省

ニューノーマル物件は、パワーカップル・ファミリーにおすすめ

昨年の調査によると、新型コロナが住まい探しに与えた影響として
「住まい探しを始めるきっかけとなった」が21%
「住まい探しの後押しとなった」が19%
でした。住まい探しにおいては、5人に1人の割合で新型コロナがプラスに働いているようです。

では、こうした「職・住・遊」を兼ね備えたニューノーマル物件。
どんな人たちが購入しているのでしょうか。

実は、2人とも正社員として働く、パワーカップルと呼ばれる人々が一番の購入者です。

カップルで1LDKに住んでいたが、二人ともリモートワークやテレワークになり仕事中にお互いの声が聞こえてくる、集中できる作業場所がない、といった課題感から、上記のような物件に引越すケースが増えたようです。

他にも、夫婦やファミリー世帯も、生活の場所として、そして仕事場所としての家という2つの機能を求めて引越しを決意する人たちが多いようです。小さな子どもがいる家庭では、リモートワーク、テレワークのスペースをいかに確保するかも切実な問題ですよね。

そんな中、マンションやアパートの共用部分や、家のすぐ近くで落ち着いてリモートワーク、テレワークできる環境があれば、これはとても便利ですよね。

ニューノーマルな住居選びで、理想の住まいを実現しよう

仕事や生活に変化のあったこの1年。リモートワークやテレワークが促進され、働き方だけではなく「住み方」がより柔軟に選べる時代になりました。

少し前までは「職住近接」といって職場の近くに住み、アクセスを重視するという考え方が主流でしたが、これからは違います。

これまでは職場によって住む場所が限定されていた人たちも、職場から離れた場所でリモートワークやテレワークをしながら自由に、好きな形で住むことが可能です。

これからはより一層、住みやすさや住まいの快適さが重視される時代になっていくのかもしれません。ご自身の働き方、家族構成、休日の過ごし方など一人一人に合った形で住む場所も考えることができるのです。

あなたの理想の住まいはどのようなものですか?
リモートワークやテレワークをしている方はぜひ「職・住・遊」のキーワードで、理想の住まいについて考えてみてはいかがでしょうか。