多くの企業がテレワークを導入するなか、従業員とのコミュニケーション不足が課題となっています。そこで注目されているのが、オンライン上に構築された「バーチャル(仮想)オフィス(事務所)」の存在です。バーチャルオフィスは、テレワーク下でコミュニケーション不足の解消に役立つのでしょうか。

テレワークに役立つバーチャル‌オフィス(仮想オフィス)とは

バーチャルオフィスとは、テレワークでも実際にオフィスに出勤するような感覚で使用できる、バーチャルオフィスツールのことです。仕様はツールによって異なりますが、オンライン上のバーチャルオフィスに出社すると、アバターやアイコンが表示されて、出社しているメンバーとのコミュニケーションが図れます。多くの場合、「音声チャット機能」や「ビデオチャット機能」、文字のみの「チャット機能」がついているため、テレワーク時にメンバーとのコンタクトもスムーズです。

テレワーク時のコミュニケーション不足を解消するバーチャルオフィス(仮想オフィス)のメリット

導入しやすい

クラウド上で使用できるものが多いため、特別な機器の購入は必要なく導入しやすいでしょう。

スタッフが何をしているか把握しやすい

バーチャルオフィスツールを導入すると、画面上にアバターやアイコン化したスタッフの姿が現れます。画面上で誰と誰が会議をしているかわかりやすいため、テレワークでも業務の進捗状況が把握しやすくなります。

雑談がしやすい

テレワーク時は仕事に集中したいときもあれば、雑談をしてリフレッシュしたいときもあるでしょう。バーチャルオフィスの画面上には、雑談できる人たちの集まる空間や、「離席中」「休憩中」など自身の状況を表示できる機能などがある場合が多いため、テレワークでも互いの現状が把握しやすく気軽に会話が始められます。

連帯感を得やすい

会社の仕事をしている以上、チームとしての連帯感は必要です。しかしテレワークをしていると、ときに孤独を感じやすく、どのような仕事でも組織(チーム)で仕事をしているという感覚が希薄になりがちです。
バーチャルオフィス上では、テレワーク中のスタッフがリアルタイムで仕事をしているため様子が感じられるため、孤独感の解消へとつながり、連帯感を得やすいでしょう。

画面共有機能ができて、仕事もスムーズ

画面や資料の共有も可能なため、テレワーク中もパソコン画面で資料を共有しながら情報のチェックなどが行えます。

テレワークにおすすめのバーチャルオフィスツールを紹介

テレワーク時に活用しやすい、バーチャルオフィスツールを紹介します。

見ているだけで楽しい「Sococo」を導入してテレワークを快適に取り組もう

Sococo

株式会社テレワークマネジメントが提供する、クラウドオフィス「Sococo」は、70種類以上あるオフィスのレイアウトからオンライン上のオフィスを選べるバーチャルオフィスツールです。すでにテレワーク時に会社で利用しているWeb会議ツールとの併用が可能なため、アバターをタッチするだけで気軽にWeb会議が始められます。

マイクやビデオ、画面共有の利用については、ユーザーごとに月500分と決められています。テレワーク中に上限に達しても、チャットの制限はかからないためチャットを多用するか、利用時間に含まれないZoomなどのWeb会議ツールを併用するといいでしょう。

【主な特徴】
●アバターを利用
●他のスタッフの会話も聞こえるため、テレワークであったとしても本当にオフィスにいるような感覚で使用可能
●タブレットやスマートフォンでの利用も可
●Googleハングアウト、Zoom、Webex、Teamsと連携
●ゲストの招待はURLでOK

【詳細】
費用:月額2500円(外税)/ユーザー
 ※メディア利用上限あり(マイク、ビデオ、画面共有の利用は月500分/ユーザー)
 ※契約単位1年(年払い)
最少契約ユーザー数:10ユーザー
対応OS:最新版~2世代前までのバージョンに対応
 ※Windows 10,8、Mac OS X、モバイルOS、Android OS Android6.0以降、iOS 9以降

テレワーク時の勤怠管理もしやすい「Remotty」

Remotty

株式会社ソニックガーデンが開発する、仮想オフィスツール「Remotty」。同社は2011年からテレワークを実施し、2016年にはオフィスをなくし全社員がテレワークで働いています。日頃から自社で同ツールを使っているため、問題があればアップデートしていくことで、現場レベルで使いやすい仕様となっています。

【主な機能】
●入退室のログが確認できるため、テレワーク時の勤怠管理も可能
●PCカメラで自動的に撮影された写真が、2分間隔でメンバーに共有されるため、テレワーク中でもリアルタイムでメンバーの状況が分かりやすい仕様。同機能に抵抗のある場合は、バーチャル背景機能や、在籍情報をカメラが判断して表示する機能もあり
●自分の座席あり。他の人を呼んでの雑談も可能
●SNSのように雑談がタイムラインで流れてくるので、テレワーク中いつでも「つながっている」感覚で仕事ができる
●Web会議ツールと連携OK
●テレワーク時に数十人での会議も簡単
●Googleカレンダー、Office365、iCalendar(サイボウズ等)との連携ができるため、スタッフの空き時間が把握しやすい

【詳細】
価格:最大収容人数 月額利用金額(税別) ※( )内はストレージ容量
 10名 20,000円 (20GB)
 20名 40,000円 (40GB)
 30名 60,000円 (60GB)
 40名 80,000円 (80GB)
 50名 100,000円 (100GB)
 60名 120,000円 (120GB)
 70名 140,000円 (140GB)
 80名 160,000円 (160GB)
 90名 180,000円 (180GB)
 100名 200,000円 (200GB)
 ※最低契約期間は6ヶ月。
対応ブラウザ:Google Chrome、Microsoft Edge
 ※スマートフォンやタブレットの利用も可(一部機能制限あり)

仮想3D空間でテレワークを行える「メタバースオフィスRISA」

メタバースオフィス RISA

株式会社OPSIONが提供する、アバターで仮想3D空間に出社するバーチャルオフィスです。テレワーク中だけでなく、ビジネスシーンでも活用できる落ち着いた雰囲気がありながらも、見ているだけで楽しめる遊び心もあります。2020年10月にクラウドワークスとの資本業務提携を締結した注目の企業が提供するサービスです。

仮想3D空間は、前後に移動時は「W」「S」キー、視点の左右移動は「A」「D」キーなど、キーでの操作も可能。もちろん通常通り、カーソルやマウスでの操作もできます。画面の見え方や操作感が、ゲームの世界観に似ているため、日頃からゲームを楽しんでいる人たちにも親しみやすいでしょう。

【主な機能】
●常時接続もしやすい高品質な音声通話が可能
●同時画面共有が可能(Google Chrome、Fifefoxのみ対応)
●相手にワンクリックで「離席中」「声掛けOK」「取り込み中」など、テレワーク時に現在の状況を共有
●オリジナルアバターを作成可能
●各部屋での会話は、その部屋にいる人の間だけで行え、会議室に入ると他の人には聞こえなくなる。テレワークでもリアルなコミュニケーションと同じ感覚で操作が可能
●招待コードの発行を行えるため、アカウントのない外部の人も招待可
●アバターの手を振ったり、拍手をしたりなどの機能も搭載
●重要な会議の際は、他の人が入れないロックモードに設定可能

【詳細】
費用:月額500円/1ID ※最低契約期間6カ月
対応 OS:Windows7 以降、MacOS
対応ブラウザ:Google chrome、Microsoft Edge CPU:インテル Corei5 シリーズ以上
メモリ:4G 以上
通信環境:20~30Mbps 以上

テレワーク時もメンバー同士の会話に困らないoVice

oVice 

oVice株式会社が提供する、ワーキングスペースやコミュニティの拠点としても利用できるオンライン空間「oVice」。リアルなコミュニケーションのように、メンバーに近づくと声が大きく聞こえる仕様です。そのためテレワーク時も話したい相手に近づくだけで会話が始められます。

定期利用のほか単発利用もできるので、オンラインイベントなども開催しやすいでしょう。実際に雑貨販売を行うスペースとして活用したり、謎解きゲームなどのイベントが催されたりした事例があります。

フードデリバリー「ごちクル」との提携により、宅配料理のデリバリーもできるため、同じ料理を食べながらのオンライン飲み会も気軽に開催できます。

【主な機能】
●テレワークの会議中は部屋をロックできる「会議室」を用意
●画面共有が可能
●「場内アナウンス」機能も
●イベントの告知などができる案内板
●スペース作成が簡単にできるため、イベントも開催しやすい
●使い方や事例がわかる説明会を毎週開催しているので、導入時も安心
●会員登録不要で動作体験が可能

【詳細】
費用:
<定期利用プラン>
●Basic 月額5000円(税抜)
・1200×640 最大面積
・同時接続50人まで
・機能制限なし
●Standard 月額20000円(税抜)
・2400×1280 最大面積
・同時接続200人まで
・機能制限なし
●Organization 月額50000円(税抜)
・4800×2560 最大面積
・同時接続500人まで
・機能制限なし
※500人以上のオフィス・イベント利用は応相談

<単発利用プラン>
●Meetup 週額2500円(税抜)※自動更新なし
・1200×640 最大面積
・同時接続50人まで
・機能制限なし
・サイネージ設置制限なし
・イベント数制限なし
・期間内何回でも開催可能
●Conference 週額10000円(税抜)※自動更新なし
・2400×1280 最大面積
・同時接続200人まで
・機能制限なし
・サイネージ設置制限なし
・イベント数制限なし
・期間内何回でも開催可能
●Exhibition 週額25000円(税抜)※自動更新なし
・4800×2560 最大面積
・同時接続500人まで
・機能制限なし
・サイネージ設置制限なし
・イベント数制限なし
・期間内何回でも開催可能

対応ブラウザ:PCの場合Google Chrome、iOS(iPhone/iPad)の場合safariが推奨環境
 ※PC x Google Chrome以外でも音声で会話が可能な環境もありますが、一部機能が使えない等の事象が発生します

仮想オフィスは、テレワーク時のコミュニケーションの可能性を広げる

テレワーク時の課題であるコミュニケーション不足。その打開策として、チャットツールやWeb会議ツールを併用している企業が多いのではないでしょうか。とても便利なコミュニケーション手段ですが、より気軽にリアルタイムのコミュニケーションを図りたい場合は、バーチャルオフィスが快適といえます。

通常のWeb会議の場合は、互いのスケジュールを確認したうえで行う必要がありますが、バーチャルオフィスの場合はテレワーク中でも相手の状況が可視化できるため、スケジュール確認の手間が省けます。気軽に雑談や会議が行いやすく、テレワーク時に従業員同士のコミュニケーション不足の解消にも役立つといえるでしょう。