コロナ禍の影響で急速に浸透してきたテレワーク。オフィス外での仕事を満喫する人がいる一方で、「ストレスを感じる」「仕事がうまくまわらなくなった」といったデメリットを感じる声も。

またこれまでオフィスという堅牢な砦で守られていた情報も、個人単位でセキュリティへの配慮が求められるケースが増えています。

ここではテレワークに潜む思わぬ落とし穴や、その対策についてご紹介します。安心・快適なテレワークの実現にぜひお役立てください。

◆コミュニケーションロス

テレワーク下でも「一日に一度のwebミーティングや、テキストチャットによる連絡・相談は欠かさない」といった企業が多いようです。
一見するとしっかりコミュニケーションが取れ、以前の対面による連絡よりも情報交換の効率は上がっているようにも思えます。

ですがこうした効率的な情報交換こそが、コミュニケーションロスにつながります。例えば企画書を上司に提出する場合、チャットだと「企画主旨は〇〇です。ご検討ください。」のように簡潔に終わってしまいがちですが、これまでなら直接企画書を渡しながら「思ったより時間がかかり、てこずりました」や「別案と迷ったのですが、こちらの案にしました」などの周辺情報が含まれていました。

それを聞けば上司は部下が何にてこずったのかを聞いてアドバイスもできますし、働きすぎていないかなど部下への配慮も働きます。また部下がボツにした別案は他の案件に流用できるなどのアイデアが生まれることもあるでしょう。

このように、チャットなどによる効率的な連絡は、小さな機会損失をはらんでいます。雑談や一見余分に見える情報の中に潜んでいるチャンスを逃さないためにも、連絡はチャットだけに頼らず、こまめに電話やテレビ会議などを利用して、生の声で連絡を取り合うように心がけましょう。上司なら、部下の不調や悩みなどに気づくなど、メンタルケアにもつながります。

◆知らないうちに情報漏洩の危険性も

セキュリティソフトなどでパソコンの情報漏洩対策を万全にしていても、意外と油断してしまうのがリアルな作業環境です。

例えばカフェやコワーキングスペースといった公共の場でパソコン作業をするときには、背後からののぞき見「ショルダー ハック」に注意しましょう。ディスプレイののぞき見だけでなく、悪質なケースではキー操作を盗み見て、パスワードなどの情報を収集するケースも。

こうしたアナログな手口で情報を盗み出すことを「ソーシャルエンジニアリング」と呼び、パソコンだけでなくノートや捨てたメモなどから大切な情報を盗まれてしまうこともあります。

パソコン画面のハック対策としては、プライバシーフィルターの利用が一般的ですが、真後ろからのぞき込まれた場合には効果がありません。
厳重な対策を望むなら、顔人認証技術を利用したのぞき見防止ソフト「顔認証のぞき見ブロッカー」も見逃せません。あらかじめ登録されている顔以外がパソコンの監視カメラに検知されると、Windowsが自動的にロックされ、背後の怪しい人物をデスクトップに映して知らせてくれるのです。

株式会社ラック 顔認証のぞき見ブロッカー

また手軽にできる対策としては、公共の場所でPC作業をする場合は壁を背後にする、書いたメモを外で捨てないなどがあります。小さな油断が大きな失態へとつながる情報漏洩。
後悔しないためにも、できる限りの配慮をしましょう。

◆静かに忍び寄るメンタル不調

「朝ゆっくり寝られる」「上司に合わなくて済む」など、テレワークによってラクになったと感じている人がいる反面、自宅での孤立した環境が、ストレスの原因にもなっている人も。そもそも人は会話をする生き物。例えば女性なら一日に6,000語以上を話さないと脳がストレスを感じるという研究結果もあるほどです。また人間には帰属欲求があり、集団の一員として認められていないと、強い不安やストレスを生じるともいわれています。

テレワークでは、社内での会話がぐんと減り、また集団に所属しているという実感も薄くなってしまいます。こうしたストレスがメンタルに悪影響を及ぼし、不調へとつながっていくのです。例えば「最近仕事の能力が落ちたように感じる」「人と会うのがおっくうで、外出もしたくない」などがそうした予兆の一つです。

深刻なメンタル不調に陥らないよう、気分転換に散歩や運動をしたり、友人や同僚と意識的に話す機会を増やしたりするよう心がけましょう。またコワーキングスペースを利用するなど、自宅以外で仕事をするのもオススメです。

以下は厚生労働省による働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」の「5分でできる職場のストレスチェック」です。テレワーク下のストレスに特化したものではありませんが、仕事や社内の人間関係から受けているストレスがチェックでき、セルフケアの方法も教えてくれます。
■労政労働省「5分でできる職場のストレスチェック」

コロナ禍の影響で一気に広まったテレワークですが、終息後も勤務形態の見直しや経営の効率化などの観点から、テレワークを推進していく企業は少なくないと予想されます。

テレワークの問題点や落とし穴を知り、上手に付き合っていきましょう。